車を運転していると、たまに不可解なことに遭遇する。まあ、不可解と言っても、大したことはないのだが。
いつだったか、バイパスを走っている時に、前を走っていた車が、急に何かをよけるようにハンドルを切った。自転車かバイクが走っているのかと思い、こちらもハンドルを切ろうとしたが、前の車がよけた場所には何もいなかった。
車高の低い車なら段差を避けるために、そういうことをすることはあるのだが、その車は普通の車だった。そこ以外はフララせずにちゃんと走っていて、居眠りでも酒気帯びでもなさそうだった。
そういえば、昔ある人から聞いたことがある。その人の先輩が運転する車に乗っていた時のこと。
「あ、人がおる」
と、先輩が言った。
「えっ、どこですか?」
その人が周りを見回したが誰もいない。
「誰もいないじゃないですか」
「ああ、霊か」
その先輩は、霊感の強い人だったらしい。
前の車の運転者も、そういう人だったのだろうか?