2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧
「ぼくはウツなんですよ」と、自慢げに言う男がいる。病院からもらった薬を飲んで治療しているらしい。 おそらく精神安定剤の類だろうが、かつて薬に頼りすぎて、精神が不安定になった女性をぼくは知っている。 突然家の中で花火をしようとしたり、突然警察…
中一の頃、教師間のぼくの称号は、『問題児』だった。 そのきっかけとなったのは、クラス内で暴れていた級友を止めようとしたことにあった。担任の女教師はなぜかことのいきさつも調べずに、それをけんかと見なし、勝手にぼくをその首謀者に仕立てあげた。 …
昼間、車を走らせている時だった。太陽をキラリと反射させた飛行物体が、こちらをめがけて飛んできた。ぼくは思わずブレーキを踏んだ。 よく見ると、その飛行物体は、今年初めて見るトンボだった。シオカラなどの普通サイズのトンボではなくて、オニヤンマや…
この団地の先に海があります。 まあ海と言っても港湾ですし、 対岸は老舗の化学工場だから、 誰一人泳ぐ人などおりません。 昔より綺麗になっているので 泳げないことはないのですが、 泳ぎたいとは思わないのです。 勿論落ちたら泳ぐでしょうが そこに落ち…
高校二年の頃、休み時間中に担任の先生から 「しんた、ちょっと来てくれ」と進路指導室に呼ばれたことがある。 高校二年時の担任は、いろいろないきさつがあり、ぼくを嫌っていた。当然ぼくも彼を嫌っていたのだが、その絡みで何か文句を言われるのではない…
先日、期日前投票に行ってきたのだが、そこに行くと、毎回毎回同じ質問をされて、うんざりしてしまう。 「投票日には行けないのですか?」 「はい」(何でいちいちそんなことを聞くかなあ。その日は都合が悪いから、今日来ているんでしょうが) 「その日は仕…
かつて日教組出身のおっさんと組んで、派遣の仕事をしたことがある。何の教科の先生だったかは知らないが、そのおっさんの言うことはいちいち理が通って立派だった。 ところが一緒に仕事をしていくうちに、おっさんが立派なのは口だけで、仕事をしない人間だ…
ぼくが鬼太郎を知ったのは小学4年生の頃、そうテレビマンガ『ゲゲゲの鬼太郎』が始まった時だ。 当時のぼくは少年サンデーばかり読んでいて、少年マガジンにどんなマンガが載っているのかをまったく知らなかった。それゆえに鬼太郎は、テレビで見たのが初め…
猫は本能で生きている動物だから 自分の行動に理屈をつけることをしない。 行動に理屈をつけることをしないから のんびりと人生を考えることもない。 人生を考えることがないということは 裏返せばそんな暇はないということになる。 つまり猫はその時その時…
小学生の頃、ぼくの周りでは、サイダーといえば三ツ矢サイダーという認識だった。近くにスーパーマーケットなどなく、駄菓子屋がすべてだった時代、その他のサイダーなんて見たこともなかったし、その存在すら知らなかった。 後年、サイダー分類されていると…
五十歳になって変ったことは トイレで手を洗わないという 地球の環境に優しい生活から、 トイレの後に手を洗うという 環境破壊の生活になったこと。 ぼくの中で大きな変化だった。 環境破壊は今なお続いていて 後ろめたい気持ちで一杯です。 六十歳になって…
チャンポン好きのぼくは、いつもおいしいチャンポンを探している。グルメな知人から「どこどこがおいしいかったぞ」と聞けば、必ずそこに行ってみる。その知人の情報は確かで、ほとんどハズレたことがない。 しかし、ぼくが情報を仕入れるのは、何もそのグル…
休日になるといつも眠気が襲ってくる。何をやっていても、ついつい居眠りしてしまうんだ。きっと休みで気が張ってないから、どうしてもそうなってしまうのだろう。 いや、待てよ、それはちょっと違うかもしれない。なぜなら気が張っているはずの仕事中でも、…
ぼくの家のそばに、そこそこ幅のある川が流れている。今でこそ魚が跳びはね、それを鷺がジッと狙っているような、自然を象徴する川になっているが、かつては魚も住まないような、それはそれは汚い川だった。 ま、そのことはさておいて―。 二十年ほど前まで、…
夕方になると、どこからともなく火薬の臭いがしてくる。実際のところ何の臭いかわからないが、昔遊んだ2B弾だとか、ロケット花火の臭いによく似ている。 とはいえこの辺に花火を作る工場はないし、炭鉱がない今は火薬を扱うような現場もない。 そういえば…
この時期に幽霊が出てきた。頬にホクロの二つ並んだ、青黒い顔の女幽霊で、彼女がトイレとか部屋の中とかを、浮かぬ顔して往き来している。 そこでぼくは除霊しようと思い、伝家の宝刀である般若心経を唱えた。ところが、肉体のぼくは寝ているので、口が機能…
今日は仕事を三十分早く終え、急いで家に帰ってきたのだが、野暮用で時間を費やしてしまい、結局風呂に入る時間はいつもと同じで、まったく新鮮味のない夜を迎えている。 しかし考えてみれば、たかだか三十分早く帰ったくらいで、どんなすばらしい世界が待っ…
夜中に目が覚めると、なぜか眠れなくなる。別に仕事のことを考えているわけでもなく、頭に嫌な奴のことを描いているわけでもなく、神経質になっているわけでもない。眠たくないのではない、気持ちは眠たいのだ。 きっと体や心のどこかに、睡眠を妨害する奴が…
自分の人生の中で培われた考えがそっくりそのまま書かれている、そんな本に出会うことがたまにある。そういう時、「ああ、これを書いた人も、同じ生き方をしてきたんだな」と、まるで生涯の友にでも会ったような、大きな喜びを得るものだ。 そういう本は、自…
幼い頃から、遠い灯りを見ると、何か惹かれるものがあった。心がウキウキしてきて、夢や希望がふくらんでくるんだ。ところが昼間そこに行ってみると、別に大したところではなく、パチンコ屋のネオンだったり、カラオケ店の看板だったりする。 そういえば人生…
1, ラジオから古い歌が流れていた。例えば50年以上前の歌謡曲だとか、その頃流行ったGSの歌だとかだ。 番組を制作しているプロデューサーは、きっとぼくと同じ世代の人なのだろう。その時代に生きていた人にしか、出来ないような選曲になっているから…
映画「お嫁においで」の頃の内藤洋子 ドラマ「これが青春だ」の頃の岡田可愛 ドラマ「キイハンター」の頃の野際陽子 ドラマ「柔道一直線」の頃の吉沢京子 ドラマ「おくさまは18歳」の頃の岡崎友紀 ドラマ「姿三四郎」の頃の新藤恵美 ドラマ「おひかえあそ…
ここまでの人生、ぼくは惜しみもなく支出ばかりに重点を置いてきた。おかげで収支のバランスは崩れたままだ。しかも支出は増え続けていく一方で、返済のめどさえ立っていない。 だけどぼくは諦めているわけではない。どちらか一方に重点が置かれたまま物事が…
一番目の夏が来て人は、 来年からネクタイをしなければならないというルールを作った。 二番目の夏が来て人は、 ネクタイをすることになった。 三番目の夏が来て人は、 ネクタイをすると体感温度が上がることがわかった。 四番目の夏が来て人は、 体感温度と…
たとえば深夜、街が寝静まっている時に一匹の猫の子が鳴いたとしましょう。これが妙に心に響くのです。昼間、喧噪の中で重大な事件があったとしても、人にはその声の方が一日の印象として残るものなのです。 仕事でも同じことでしてね、会議が行き詰まって誰…
「生きていることの意味」、そんなことを考えるのはおそらく人間だけで、他の生物はそんなことを考えることはないだろう。なぜなら他の生物は人間のように暇じゃなく、生きることに精一杯だからだ。 たとえばさっきからぼくの周りをしつこく飛んでいるハエが…
観光地のお土産屋さんなどでよくタヌキのアクセサリーを見かけるが、何が楽しいのか、その股間には決まって紐付き金玉が付いている。 それを見ていつも思い出すのが、1970年頃に流行した、紐付き金玉をそのまま大きくしたようなアメリカンクラッカーとい…
知人の家に、リックという名のオスのミニチュアダックスがいる。かなり前から飼っていて、人間の歳にするともう七十歳を超えているという。なるほど目は白内障になっていて、歩きもヨタヨタしている。 ところがそのリック君、そんな体になってはいてもあちら…
小学三年生の頃、ひょんなことから130文字以上ある『じゅげむ』を一日で覚えた。当時はその程度の文字数なら、何の苦もなく覚えられたのだ。 徐々にきつくなったのは中高生の頃で、歴史の年号や数学の公式などに、いつも手こずっていたものだ。 社会に出…
車を運転していて怖いのは、夜の歩行者の飛び出しだ。子供や年寄りが飛び出すのではない。ウォーキングに励む中年男女が飛出すのだ。 自分のペースを乱されるのが嫌なのか、信号のあるところでも、青になるのを待とうとせずに、好き勝手に道路を渡っている。…