吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

朝の誘い

「お前にいいことを教えてやる」 仕事に行こうと急いでいる時に 電線のカラスが語りかけてきた。 もしかしてそれは本当のことで ためになる話かもしれない。が ヤツはそれに時間を割いている。 だからそれでいいんだろうけど こちらはそれを聞く時間がない。…

エスカレーター

エスカレーターのある場所は 大がかりな機械が動いている 危険極まりない場所であって、 親が「その辺で遊んでなさい」 とほったらかす場所ではない。 また監視役の爺さん婆さんが エスカレーターで遊んでいる 孫に目を細める場所でもない。 上りエスカレー…

月乱れる

月乱れる、月乱れる、月乱れる。 漆黒の大きなスクリーンの上に すでに五日ほど歳をとった月が なぜか乱れた画像になっている。 ぼくらはアンテナの向きを変え 月のあるべき姿をスクリーンに 映そうと懸命に努力するのだが 月は思うように映ってくれない。 …

この山を登る

その線より前を見ると心は暗くなる その線より後を見ると心は重くなる その線上にいる時だけ心は楽になる とりあえずそこに気づくのが大切で。 そこがこの山の一合目となるのです。 その線上に居続けると心は楽だけど その線上に居続けるのはむずかしい。 だ…

学園通り

1, その高校は市の中央にそびえる 山の中腹に建っている。バスを 麓で降りて、そこからは歩いて 狭く長い坂道を登ることになる。 春や秋は様々な花が咲いていて 長い坂を忘れさせてくれるけど 夏や冬はその坂道が地獄と化す。 夏は所々の急な勾配と陽射し…

置土産

車のガラスに蝿がとまっている。 秋のゆるやかな陽射しを浴びて 気持ちよさそうにとまっている。 居眠りでもしているのだろうか 一向に動く気配が感じられない。 ところで彼らにはこのガラスが どんな風に見えているのだろう。 やっぱり人と同じく向こう側が…

マイナス25

ぼくの歳から母親の歳を引いてみると マイナス25になる。この25の中に 戦前と戦中と戦後といった時代がある。 そのマイナスを経験せずにすんだから よかったじゃないかと言う人がいるが ぼくとしてはこのマイナスが羨ましい。 今よりも綺麗だった戦前の…

葬儀場にて

葬式なんて、あの世から見たら 「何ばかげたことやってるんだ もうすべては終わっているのに。 無駄な演出が多すぎるんだよ…」 なんだろうな。さらに坊主には 「浄土を見たこともないくせに 知ったかぶりなんぞしやがって 何偉そうに説教を垂れてるんだ お前…

ヘビとムカデとハエ

「ヘビ」 おれなんて胴体一本だけで 生きている動物だろう。だから こうやって体をくねらせないと 前に進めないんだ。たまに くねらせるタイミングが狂って わき腹が攣ることだってある。 腹一杯だと体はくねらないし不便なものだ。 ムカデ君よ、その点君は…

大丈夫

『大丈夫』という文字を こころの中に書き込んで 何かあるたびにそれを観る 何か思うたびにそれを観る 何か触れるたびにそれを観る 何か感じるたびにそれを観る 何か耳にするたびにそれを観る 何か目に映るたびにそれを観る 人が何かを言うたびにそれを観る …

くさむらの嘆き

そうやって毎日をヒョロヒョロと うたっているのもいいんだけどね そろそろ冬支度をしたらどうだい そんなに肥えた土地でもないのに 人間が草を刈っていくもんだから 食糧はもうほとんどなくなったし 雨や風から身を防げなくなったし 人や鳥から身を守れなく…

名月

十五番目の大玉の夜に 明かに光る小玉を浮べ 涼しい風を吹かせたら 名月なる月が出来上る その明りを身に浴びて 草むらの虫は恋をする ねむれぬ鳥は悩まされ のぼせた猫は身悶えし とまどう犬は宙に吠え 時おり人は狼に変わる