吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

街風景

夜の章

タマネギかあさんが クシャミをすれば 街一面の日が暮れる 家路を急ぐカラスの声が 公園の裾に響いてる 公園の裾に響いてる ニンニクばあさんが あくびをすれば 街一面の灯がともる 子供たちの笑い声が 団地の裾に響いてる 団地の裾に響いてる ラッキョウじ…

気になる!

ずっと前からある本屋が 最近改装オープンした。 気になる! 本屋が新しくなったと言っても 特価セールをやるわけでもないし 本の内容が変わるわけではない。 でも気になる! 特に欲しい本があるわけでもないのに 意味もなく本屋の入口を往ったり来たりする…

街中で

顔は見たことがある。声も似ている。 背の高さもだいたいそんなものだったろう。 ということで、おそらくその人なのだろう。 だけど、声をかけられないでいる。 一点だけ引っかかることがあるのだ。 彼のデブな体型だ。ぼくの知っている人は そんなにデブで…

カナブン

今年のカナブンは元気がない。 例年のごとく、威勢よく 部屋の中に飛び込んできては 照明に体当たりする そんな姿が今年は見えない。 見えてくるのは 人が見上げる場所を飛ばずに 人の足下あたりをヘナヘナ飛ぶ ふぬけた姿だ。 せっかく空飛ぶ羽をもらいなが…

とんぼ

空のスイマーは 両手を大きく広げ スイスイと流れるように 風の中を泳いでいく。 遠い日の 水の中の想い出が 空のスイマーの 頭の中を駆け巡る。 暑い日、水の中を 懐かしむかのように 空のスイマーは スイスイと流れるように 風の中を泳いでいく。

痩せぎすのバッタ

濃い緑色の作業着を着込んだ 痩せぎすのバッタは 滑り止めの付いた ギザギザの地下足袋を履き 股の膨れたニッカーボッカーに 力を込めて、工事現場を 飛ぶように歩いている

風の絵描きさん

風の絵描きさんは 白い絵の具を集めて 青空のキャンパスに 一筆で画を描きあげる 描きあげては 一番目立つ所に その画を展示する すべての人が 鑑賞できるように その画を展示する

ご安全に

昼間、車を走らせている時だった。 太陽をキラリと反射させた飛行物体が こちらをめがけて飛んできた。 ぼくは思わずブレーキを踏んだ。 よく見ると、その飛行物体は 今年初めて見るトンボだった。 いや、大雑把にトンボというより ヤンマと言ったほうがわか…

火薬の臭い

夕方になるとどこからともなく 火薬の臭いがしてくる。 実際のところ何の臭いかわからない。 が、昔遊んだ2B弾だとか ロケット花火の臭いによく似ている。 とはいえこの辺に 花火を作る工場はないし 火薬を扱うような現場もない。 近くに化学工場はあるも…

高級車に乗る人

昔は、高級車と言えば 乱暴でマナーの悪い人が 乗る車だと思っていた。 ウィンカーも出さずに割り込んだり フラフラ蛇行して走ったり 車線を半端なくはみ出したり もう、傍若無人の振る舞いなのだ。 きっと性格的に難のある人か 社会的に難のある人が 運転し…

夕日の風景

積もった雲をかき分けながら 赤いため息をつきながら 一日の旅を終えた太陽が 今日の軌跡を照らしている 今日の軌跡を照らしている きっと疲れているのだろう 居眠りでもしているのだろう 大きな体をゆらゆら揺らし ゆっくりゆっくり落ちていく ゆっくりゆっ…

衝動

駅前や公園で歌っている 兄ちゃんたちの ギターや楽器をとりあげて 歌ってみたい衝動に かられることがある。 特に曲にはこだわらないが 恋の歌なんかはうたわない。 出来たらぼくが若い頃 頭を殴りつけられたような 衝撃を受けた歌がいい。 力一杯歌っては…

おかっぱ頭

ぼくの家の西側に 少女のおかっぱ頭のような 小さな丘がある。 昔は大きな丘だったが 周りに住宅が出来たために だんだん削られていき 数年前に今の形になった。 毎年五月の中旬になると そのおかっぱ頭のてっぺんに オレンジ色の夕日が沈んでいく。 ここか…

独演会

かれこれ一時間にもなるだろうか 家の前の公園で、一羽の野鳥が 声を張り上げて鳴いている。 まだ鳴き慣れていないのか そのつど抑揚は変わるし 出だしの音階は微妙に違っている。 何小節かを一気に歌い上げては ブレスして、ブレスして、ブレスして また何…

信号待ち

ここの赤信号はえらく長く感じる。 まだ二、三分も経ってないはずなのに もう三十分以上も停まっているような気がする。 おそらくはさっきから本線に車が通ってないから そう感じるのだろう。 こんな時、ぼく以外の人は どういう行動を取るのだろう。 信号を…

球春

1, 夕方になると金属バットの音がする。 近くの少年野球チームが練習している音だ。 ついこの間まで五時を過ぎると真っ暗で 音は聞こえてなかったのだけど、 彼岸も過ぎたこの時期になると 明るい夕方待ってましたとばかりに 子供たちの力一杯が鳴り響く。…

花見て一杯

桜の花は散り始めているが 花見はこれからが本番らしく ニュースは桜の木の下一面に 敷かれたシートを映し出す。 今宵その場に集う人は 何に浮かれて騒ぐのか。 酒か、異性か、人生か 散る花びらか、居残る花か。

風濃く吹けば

風濃く吹けば桜舞い 桜吹雪けば風が散る 散らばる風に雲集い 雲極まって雨が降る 雨清く降り地を洗い 地清まれば風が吹く 風濃く吹けば桜舞い 桜吹雪けば風が散る…

都会

1, 高いビルに登って景色を見ると 目の前に現れるのは、 空と雲と遠くの山の影ばかり。 牧歌的な雰囲気には浸れるものの 昔焦がれた都会の窓が見えない。 街を映し、並木を映し、 行き交う人の顔を映す、 そんな都会の窓が見えない。 2, 都会の鳥はカラ…

チャンポンのお店

水をよく切ってない野菜は スープにうまくなじまない。 いくら秘伝のスープを使っていても 野菜がなじまないといただけない。 いただけないので食べないわけで 皆が食べないから繁盛しない。 それがわからないのかこの店は 相変わらず秘伝で勝負している。 …

朝の吟遊詩人

始発バスも来ない時間から、 窓の外にある公園に、ぞろぞろ 吟遊詩人が集まってくる。 彼らは大声を張り上げながら、 その存在を主張する。 疲れ果てた人の耳には、 季節と自然に調和した 心地よい音楽に聞こえるも、 這い出たばかりの虫たちには、 死神の雄…

遠くでカンコン

遠くでカンコン、 踏切警報機が鳴っている。 いつの頃からだろうか、 夜中の警報機は、 犬の遠吠えのように むなしいものになった。 むかしはカンコンに旅情を誘われ、 いつも夜汽車の中にいる自分を 想像していたものだった。 ところが、 この時代は夜汽車…

日常的な非日常

パトカーだとか消防車だとか 救急車だとかのサイレンが 毎日無表情に鳴り響いているが、 そういうサイレンが 家の前に停まるのではないかと 誰もが一度は想像したことがあるはずだ。 そんな日常的な非日常を、 ぼくたちは心のどこかで 望んでいるのかもしれ…

ご近所様の声

そこの居酒屋の大将は、 お客入りが悪い時には決まって 三軒先の焼き鳥屋の前まで行って、 窓の外から店の中を覗いている。 腕を組んで横目で見ては、 時々「チッ」と舌打ちしている。 おそらくその焼き鳥屋に お客を取られたとでも思っているのだろう。 だ…

夕方風景

家に帰ってからの一段落を 入浴時間に差し替えて、 夜がくるのを待っている。 本を読んだり、 居眠りしたりしているうちに、 あたりは徐々に暗くなり、 風呂場の窓の隙間から いろんな夕方が忍び込んでくる。 この時期特有の煙ったにおいと、 夕飯準備のタマ…

のどが痛い

1, 三日前からのどが痛い。 一昨日は赤くなっていた。 昨日は微熱が出た。 そして今日は声が出ない。 さて明日はどうなるのだろう。 いちおう風邪と決めつけて、 ぼくにはよく効くパブロンを買い、 のどのためにトローチを買った。 滋養強壮に養命酒を飲み…

無法ウォーキング

はいはい、 歩くのが大切なことは 充分にわかりましたから、 人の迷惑にならない場所を 選んで歩きましょうね。 何かに取り憑かれた目をして、 肩力ませて手を振ったり、 ぎこちなく腰を振ったりと、 それはそれでかまいませんから、 赤信号だけは渡らないで…

迷惑な自転車野郎

えーと、この間のことなんだけど、 半感応信号の車道先頭ど真ん中に陣取って、 信号待ちしている自転車野郎がいましてね、 自転車だとセンサーが反応しないから ボタンを押さないかぎり いつまで経っても信号は変わらない。 そこで後ろで待っている車の人が…

帝の軍隊

墓参りに行く途中に 由緒ある神社がある。 神武天皇が東征する前に しばらく政務を執った場所で 当時の祭祀の跡が 今でもそこには残っている。 心がついそこに向いたので ぼくは急遽路線を変更して その神社に車を進めた。 祭祀跡は鳥居の横にある。 十畳間…

ペンギン野郎たち

街を見てみな。 今日もペンギン野郎たちが、 ペタペタペタペタ 歩いているだろ。 社会を変えてやるだとか、 トップを取ってやるだとか、 奴ら頭が重すぎて、 体がついていかないんだ。 だからペタペタペタペタと、 歩いているんだな。 この暑いさなか、 いち…