吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

遠い灯り

幼い頃から、遠い灯りを見ると、何か惹かれるものがあった。心がウキウキしてきて、夢や希望がふくらんでくるんだ。ところが昼間そこに行ってみると、別に大したところではなく、パチンコ屋のネオンだったり、カラオケ店の看板だったりする。 そういえば人生…

ぼくのアイドル

キャンディーズと同じ時期、ピンクレディが存在した。だが、ぼくはそちらの方は興味がなかった。 その二つのアイドルグループは、当時から色々比較されていた。だけど、「比較するなよ」とぼくは言いたかった。初期の頃はともかくも、ピンクレディがデビュー…

夏の食生活

ビールを飲むと腹が膨れ、茶漬けを流すとさらに膨れ、スイカを食べると限界になる。毎年夏になるとこの繰り返しだ。 四十歳を過ぎて以来、この腹のきつさに耐えられなくなり、こういう食生活はやめようと何度も心に誓った。しかし意志の弱さから何年経っても…

機械音痴

とうとう腹がブーになってしまいましてね、昨晩寝ている時に嫁さんから写真撮られてしまいました。 しかしこういう時、男子は落ち着いて何でもない風を装うものなのです。すると女子は「なーんだ、気にしてないのか」なんて思い、それ以上そのことには触れま…

嫌な奴

仮に嫌な奴がいたとしても、『嫌な奴』と思わなければ、そいつは嫌な奴にはならない。 いくら生理的に受け付けなくても、嫌という言葉を当てはめなければ、それで終わったことになる。 無理して『本当はいい奴』なんて思う必要もない。お笑い系の動物だとか…

されど私の人生

とにかくよく歌う奴らだ。 現在ぼくたちを含めて三組の客がいるのだが、他の二組がカウンターを占領し競い合って歌っている。元々『ママさんと本音で語る』、ということを主にしたような店で、カラオケはたまにしかやってなかった。ところが最近はカラオケス…

S旅館

「お食事にしますか、お風呂にしますか」 のどは渇いていたけれど、とりあえずはこの汗を流したい。それに、夕日が沈むのを鑑賞しながらの露天風呂は格別だ。ぼくたちは、旅の雑誌に載っていた露天風呂の風景を頭に浮かべていた。 「先にお風呂に入ります」 …

『×』を消そう

昨日あることを書こうとして、途中までノートに下書きしておいた。ところが今日になって、そこからの文章が出てこない。あげくの果てに、せっかく書いた文章を『×』で消して、その下に新たな文章を試みた。だけど何も出てこない。きっと今日はそんな日なんだ…

喫茶店

三十年前のある時期、ぼくは出版会社に席を置いていた。 その会社に入ったばかりの頃だったが、『喫茶店』という題の文章を書いてこいという宿題が出たことがある。何を書こうかとぼくは考えた。ありきたりのことを書いたりすると、ただの作文になってしまう…

未来の記憶

最近ぼくは、頻繁に予知を体験するようになった。その体験は日常生活上のことに限られているせいで、最初は偶然だと思い予知などとは考えてはいなかった。しかし何度もそういう体験をしているうちに、もしかしてこれは予知ではないかと思うようになった。と…

笑い

学生の頃はいつも一人笑いしていた。たとえそれが授業中であったとしても、何かおかしいと感じることがあると、いつも笑っていた、そのため先生から、「何がおかしいんだ。集中力が足りん」と言われ、よく頭を叩かれていたものだ。 いったい何がおかしかった…

昨夜の夢

昨夜、夢に神様が出てきた。ぼくはいろいろと現状を訴えたあげく、「この状況から脱出させてください」と願った。 それを聞いた神様は、「では願いを叶えてあげるから、どうなりたいのか漢字二文字で書きなさい」と言う。さて何と書こうか。漢字三文字なら思…

回れ右

夜、仕事を終えて家に帰ってくると、他階に住む女の子が自動ドアを開けて、マンションの中に入ろうとしていた。ところがである。女の子は突然回れ右をして、そそくさと外に出ていった。そして外階段を上っていったのだった。 おかしな子だなと思いながら、ぼ…

中学三年の夏の思い出

中学三年の夏休み、八月のちょうど今頃だったと思う。親戚と近くの海に泳ぎに行ったんだけど、その時クラゲに腕を刺されて、ひどく腫れ上がったことがある。 刺された時の痛みが尋常じゃなかったので、慌てて海から上がり、患部に小便を引っかけた。だけど痛…

当時のニュース

昔録っておいたビデオを見ていると、たまに当時のニュースが入っていることがある。そういう時はつい見入ってしまい、「ああ、この当時こういうことがあったなあ」なんて思っている。 それに絡んで、ちょっと困った問題がぼくの中で起きている。それは、『こ…

もう一人の自分

自分の心をどこまでも掘り下げていけば、別の人間にたどり着くのではないかと、常々ぼくは思っている。 時々こういう夢を見ることがある。現実とはまったく違った環境の中で、生活している夢だ。なぜかその内容がえらく現実味を帯びていて、そこでの生活が自…

高級車に乗る人

昔は、高級車と言えば、乱暴でマナーの悪い人が乗る車だと思っていた。ウィンカーも出さずに割り込んだり、フラフラと蛇行して走ったり、車線を半端なくはみ出したり、もう、傍若無人の振る舞いなのだ。きっと性格的に難のある人か、社会的に難のある人が、…

切羽詰まらない性格

子どもの頃から、のほほんと育ってきたせいで、ぼくは切羽詰まらない性格になっている。一つのことをやろうとした時に何か真剣みが足りないのだ。そして押しが弱いのだ。 例えば若い頃、あるオリジナル曲のコンテストに自信作を応募したことがあるのだが、応…

呼ばれざる客

クモはかつてここで居候していた。 セミはおそらく幼なじみだったはずだ。 トンボには小学生の頃良くしてもらった。 バッタは取っつきにくいが根はいい奴だ。 カナブンは生涯ぼくの子分にしている。 このマンションに越してきて、いろいろなお客が訪れた。だ…

かつてはこの辺も水害の町だった

この辺の河川は数十年前まで、しょっちゅう氾濫していた。だけど今は度重なる護岸工事のおかげで、多少雨が降ってもビクともしなくなっている。 考えてみると、あの頃は工場排水などで魚が住めないほど汚い川だったのだが、そういう川が氾濫していたのだ。し…

王冠

小学生の頃、夏休みになると、決まってジュースやビールの王冠を集めていたものだった。家で飲むものはもちろん、友だちからもらったもの、駄菓子屋に落ちていたもの、道ばたで拾ったもの…。 中でも酒屋の空き瓶置き場は王冠の宝庫で、数々の珍しい王冠を手…

街中で

顔は見たことがある。声も似ている。背の高さもだいたいそんなものだったろう。ということで、おそらくその人なのだろう。だけど、声をかけられないでいる。一点だけ引っかかることがあるのだ。彼のデブな体型だ。 ぼくの知っている人は、そんなにデブではな…

出世自慢するヤツ

この間、昔の友だちに会ったんだけどね、そいつ何かにつけて、今の自分の地位だとか年収だとかを自慢するんだよ。最初は聞き流していたんだけど、最後には「お前もうちに来ればよかったのに。そうしたらそんなに頭が白くなってなかったと思うぞ」なんて言い…

もう髪が伸びてきた

そろそろ床屋に行かなければならない。鏡を見ると、もう髪が伸びているのだ。 「さて、この間床屋に行ったのはいつだったろうか」と、二ヶ月ほど前の床屋の記憶をたどってみるが、なかなかその記憶が蘇らない。それもそのはずで、前回床屋に行ってからまだ一…

ゲーコ

ぼくの家のそばに、そこそこ幅のある川が流れている。今でこそ魚が跳びはね、それを鷺がジッと狙っているような、自然を象徴する川になっているが、かつては魚も住まないような、それはそれは汚い川だった。 ま、そのことはさておいて―。 二十年ほど前まで、…

姓名判断

本屋に姓名判断の本があったので、自分の名前を占ってみた。ぼくの名前、画数で占えば、ネアカで誰からも好かれるのだそうだが、名前の読みで占えば、明るくてネクラで偏屈な人なのだそうだ。 さて、これをどう捉えたらいいのだろうか。ネアカなネクラと捉え…

白髪ジジイ

若い頃から心の重しになっていたのが白髪頭で、鏡を見るのも嫌だった。最初の頃こそ切ったり抜いたりしていたが、だんだんそれでは追いつかなくなった。 そこで健康雑誌を読みあさり、シャンプーを変えてみたり、アロエを頭皮に塗ってみたり、粗塩で髪を洗っ…

自分をさらけ出そう

ぼくは四十代半ばで頭が真っ白になったのだが、白髪になると髪の多さは変わらないものの、一本一本の髪の毛が細くなり、さらに髪の毛の白い色がその底にある肌色を映すようになる。つまり頭の地肌が透けて見えるようになるわけだ。 時にそれを見て、「薄くな…

信号待ち

ここの赤信号はえらく長く感じる。まだ二、三分も経ってないはずなのに、もう三十分以上も停まっているような気がする。きっとさっきから本線に車が通ってないから、そう感じるのだろう。 こんな時、ぼく以外の人はどういう行動を取るのだろう。信号を無視し…

セルフイメージ

確固たる自信のないまま生きてきたから、どうもセルフイメージがよくない。端から見ると、いかにも自信家でそつなく見えるかもしれない。だけどそれは表向きを繕うために編み出した、ぼくの忍法だ。そうだ、みんなは誤魔化されているのだ。ぼくはぼくの影を…