吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

愛の重さ

どこまでの愛なのかは知らないが 彼女は彼を愛しているようだ。 一方彼がどうなのかというと それが何にもわからない。こちらは そのなれそめすら知らないのだから 愛の重さ推し量ることが出来ないのだ。 わかっているのは彼は彼女よりも ずっと年が上で、彼…

ヤツの改心

ヤツはいつも徒党を組んで この街を歩いていた。 眼光鋭く光らせては 周りを威嚇してまわり 歯向かうものには 躊躇せずに食いついた。 おかげでいつも傷を負って 家に帰ってきていたのだった。 ところが何があったのか、 ある日突然それがなくなった。 ヤツ…

時間を意識する

おそらく生まれてから物心つくまでは ただ自分という存在を覚えているだけで 特に時間を意識したことはなかった。 時間を意識しだしたのは小学校入学からで そこから中学校を卒業するまでの時間が 今までで一番長かったような気がする。 その後の十年間は実…

辛気くさい二人

無精な髭を生やした男が二人 乱れたベッドの前に座り込み ジーっと一点を見つめている。 彼らは仕事をすることもなく 何度も何度もカードを切って 黒いジョーカーを探している。 一年に何度目かの努力の末に 黒いジョーカーを見つけては ふたたびカードの山…

夢旅人

その人はリュックサックを背負い 森の中を静かに歩いている。 いつもいつも本を読みながら 爽やかな風に誘われ進んでいる。 時に妖精の道を見つけると 静かに立ち止まり、本を閉じて ゆっくりぼくを手招きする。 ぼくは緊張しながらそこに向かう。 いつもい…

朝起きたら

朝起きたらその日一日の テーマがあって、今日は そういう一日なんだという 大まかなことは決まっている。 あとはそれをどういう風に 料理していくかなんだ。 例えばぼくが言葉を選んだとする。 それが具材だ。あとはあなたが それを料理していくわけだが、 …

今日は山に行きましょう

朝から頭が冴えているので 今日は山に行きませんか。 冴えた頭で山に登れば 今日まで解決出来なかった 様々なパズルが一気に解ける そんな気がするのです。 車はわたしが出しましょう。 峠の茶屋に車を置き そこから歩いて登りましょう。 四合目あたりがいい…

一字一句を忘れない

例えばむかし愛した女性が すっかりおばさんになっていて その存在から目を背けたくなるような その現実を忘れたくなるような そんな悲惨な状況にあったとしても その女性の想い出の一字一句を 決してぼくは忘れないだろう。 輝いていた健康的な肌の色 透き…

口笛

夜口笛を吹くと ヘビがやって来るという。 口笛の音をカエルの鳴き声と ヘビが勘違いするのだという。 まあ、自然が多く残っている 地域ならともかく、周囲の 地面がすべてアスファルトに 覆われているような街中や 背の高い団地やマンションが 林立している…

三億円の夢

あることをするとお金が貰える という夢を見た。ぼくの場合 その金額は三億円なのだという。 その『あること』というのが とても簡単なことで 「本当にそれをするだけで 三億もらえるんですか?」と 興奮したぼくは大声で尋ねた。 そのことをぼくに教えてく…

右手

おやおや、 あなたの右手は汚いですね。 えらく煤けているじゃないですか。 しかも傷だらけになっているし。 おまけに家の中はホコリだらけだ。 さてさて 気になっているのは料理なんです。 ホコリ舞う状況で食材広げて 汚れた右手を洗いもせずに あなたは料…

半袖しましょうよ

このごろ暖かくなってるし たまには暑くもなってるし そういや四月のなかばだし そろそろ半袖しましょうよ 吹く風はすでに初夏になり 長袖のボタンは暑苦しいし 何よりも通気が悪いからね やっぱり半袖しましょうよ 皮膚で呼吸が出来るように 汗がちゃんと拭…

電柱

あれは隣の会社の駐車場に電柱が 転がっているのを見つけた時だった。 その時、なぜかぼくはその電柱が 無性に欲しくなり、その持ち主と 交渉して、退職金と引換えで 一本だけ買うことにしたのだった。 そして仕事を辞めた日にお金を払い 「後日取りに来る」…

爪が伸びている

三月から伸びている爪を 切らなくてはならないのだが 四月の痒い背中を掻くために もう少し伸ばしたい気もする。 ただこのまま伸ばしていると 加齢で割れてしまうだろう。 きれいに割れれば問題ないが 下手な割れ方をすると後で 深爪に到ることもあるから面…

あの頃も詩を書いていた

ぼくの詩の出発というのは 不埒なものだった。とにかく あの人に好かれたい一心から 何か意思表示を、ということで 取り組んだのがそれまで一度も 書いたことのない詩だった。 本屋で詩の本を立ち読みしては 見よう見まね体裁整え書き綴り 彼女に送ったのだ…

蛇屋のおっちゃん

八幡様の鳥居の前で、おっちゃん いつも商売をやっているけど、 何で境内でやらないんですか。 普段は誰もいない神社だから 町内会に頼んだら、すぐにでも 使用許可は下りるでしょ。 それとも何ですか、おっちゃんは 八幡様の境内が怖いんですか。 そこに何…

この絵の具

この絵の具は使えば使うほど 色も量も増えてくるので、一生 不自由なくお描きいただけます。 ただし使い続けなければ駄目で いったん筆を置いてしまうと 絵の具は一気に減ってしまいます。 まあ減ってきた時点で再開すれば 多少の時間はかかるものの 絵の具…

ある人の通夜

昨日、以前いっしょに 仕事していた人が亡くなった。 今日はその通夜で 仕事が終わった後に行ってきた。 実は通夜の参列に到るまで けっこう心の葛藤があった。 最初は参列すまいと思っていた。 いっしょに仕事した時間は かなり短かったし、同じ会社 という…

猫の島

もしそこに同じ生活環境があるなら わたしたちも一緒に転出したいです。 尻尾を振りながら犬たちは 真面目な顔をしてそう言って ギャフンギャフンと泣いた。 もしそこに同じ自然環境がないなら わたしたちは転出したいとは思わない。 ゴロンと寝っ転がった猫…

呪文

大丈夫なのかと疑ってる自分に 大丈夫と声をかける自分がいる 何が大丈夫なのかわからないが とにかく絶対大丈夫と思うから 大丈夫だと声をかけ続けている 忘れたころにそれは落ちてきて 気がつけば大丈夫になっている とにもかくにも生まれてこの方 今の今…

昨日を今日が明日は

昨日をなんとなく不安だと思えば 今日がそれとなく不安だらけで 明日はさりげなく不安に満ちる 昨日をなんとなく避けようとすると 今日がそれとなく霞んで見えて 明日はさりげなく遠ざかる 昨日をなんとなく寂しいと見れば 今日がそれとなく寂しいと映り 明…

今、何をしていいのか わからないのなら 何もない今という 無垢なキャンパスに 今、考えることのできる ありったけの「楽しい」を 描き出していけばいい それだけで充分に 今、生きている価値がある

毎日毎日

古びた神社の鳥居の前で おもむろに石ころを拾い上げては 境内の東側にポツンと積み上げる。 石ころをポツンと積んだあとに 枯れた草をひとつ抜いてくる。 そしてまた鳥居の前に戻り おもむろに石ころを拾い上げる。 そんな単純な作業をあの人たちは 少なく…

街の食堂で

街の食堂でラーメンを食っていると 三人連れのおばさんが入ってきた。 「えっ?!えっ?!えっ?!」 におうんですよ。におうんですよ。 くさいんですよ。くさいんですよ。 何がって?決まってるじゃないですか 香水ですよ、香水ですよ。きついヤツ。 いるん…

川道

この道は昔はどんな道だったのだろう。 きれいに舗装された川道を見てそう思う。 おそらくは丈の長い草がぼうぼう生えて 道はぬかるんでいたのではないだろうか。 時折におってくる水浸しの土のにおいや アスファルトの隙間から顔を出す雑草が ぼくにそれを…

頑張るしかない

この仕事を始めたら 頑張るしかない その山を目指したら 頑張るしかない 一度歩き始めたから 頑張るしかない 一旦呼吸を始めたから 頑張るしかない 頑張るのはきついけど 頑張るしかない 頑張るは捨てられないから 頑張るしかない 生きているんだから 頑張る…

四月に入ってから

1, 四月に入ってから ぼくを含めたこの周辺が 徐々に変わり始めている。 友人たちは四月から 環境を一新させて その方向を定めている。 ぼくは四月から 新たな一歩を踏み出して その方向に向かっている。 最近読んだ本で言っていたが 「自分が変われば、周…

通い道

友人がある人を乗せて車を運転していた時 突然その人が「そこに人がいる」と言った。 友人は辺りを見回したが誰もいない。 「えっ、誰もいませんよ」と言うと その人は平然とした顔で「そうですか。 じゃああれは霊だったんですね」と言った。 その人は霊感…