吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

自由

70年頃に流行った言葉の一つが、「自由」だった。何でこの言葉が流行ったのかは知らないが、周りは事あるごとに自由を主張していた。 深夜ラジオの影響で、当時中学生だったぼくも時代に便乗し、何かにつけて「自由、自由」と、連発して口にしていたのだっ…

失敗

むかしからコミックを買う時に、同じような失敗をしている。たとえば中学のころに揃えた『あしたのジョー』は7巻が二冊ある。『柔道部物語』は8巻が二冊、『バガボンド』は26巻が二冊、『二十世紀少年』は18巻が二冊、極めつけは『1・2の三四郎2』…

負けん気

小学生の頃までは人と競争することなんて、まったく興味がなかった。ただその日が面白ければ、それでよかった。かけっこで負けたって、ヒットが打てなくたって、悔しいなどとは少しも思わず、『これをどう笑い話に持って行こうか?』なんて考えている、変な…

臭さ

自分の人生の中で培われた考えが、そっくりそのまま書かれている、そんな本に出会うことがたまにある。 そういう時、「ああ、これを書いた人も、同じ生き方をしてきたんだな」と、まるで生涯の友にでも会ったような、大きな喜びを得るものだ。 そういう本は…

遠距離恋愛

遠距離恋愛 職場に遠距離恋愛をしている女の子がいて、口を開くたびに「遠距離恋愛はすれ違いが多くて大変です」と言っている。聞くと彼氏はアメリカにいるらしく、時差がそのすれ違いを作っているということだ。 そのことについて、時々ぼくも相談に乗って…

意欲作

意欲なんて持たないほうがいい。 意欲を持って事に当たろうとすると、いい仕事をしてやろうなどという余計な我が入ってしまうから、いい仕事が出来なくなってしまう。 たとえば文学とか音楽とかがいい例で、意欲作などというふれこみの作品ほどつまらないも…

テレビ塔

山の上にテレビ塔が見える。地デジやFMの電波はあそこから流れてくるんだ。 ふと思う。今の文明がなくなって、まったく違った文明になった時、その時代の人たちはあのテレビ塔を見て、いったい何と思うのだろうか。さすがに自然の産物だなどとは思わないだ…

ぼくらのアイドル

高校時代、クラスにアイドル的存在の女子がいた。 決して美人ではなかったが、かわいい顔立ちで性格もいい。爆発的な人気というわけではなかったものの、彼女に好感を持つ男子は、ぼくを含めて多数いた。 そういう彼女の夢は、「いい人を見つけて、早く結婚…

クラクション

車を運転していて怖いのは、夜の歩行者の飛び出しだ。子供や年寄りが飛び出すのではない。ウォーキングに励む中年男女だ。 自分のペースを乱されるのが嫌なのか、信号のあるところでも、青になるのを待とうとせずに、好き勝手に道路を渡っている。これなら違…

迷惑な話

三十年以上前になるのかな。その頃住んでいた団地の最上階から、飛び降り自殺を図った男がいた。団地は十三階建てだったのでもちろん即死で、あたりには血糊など体内の諸々が散らばっており、落ちた場所には塩が撒かれていた。 男は市外に住む人間で、その当…

文系人間

小学・中学・高校と、ぼくは理科という教科が苦手だった。生物・化学・地学・物理、どれを取ってもぼくは駄目で、とくに生物にいたっては、高校時代に再試と追試の二つの試験を同時に受けたほどの腕前だ。 いまだに化学式もわからない。地学なんかは習っても…

夕方のにおい

ぼくが社会に出る頃まで、この辺りの家は石炭で風呂を沸かしていた。釜の中に石炭を敷き、その上に木切れなどを置き、新聞紙やチラシを丸めて火をつける。そして石炭に火が移るまで、紙や木を足していくのだ。石炭に火がつけばあとは火が消えないように、数…

もう一つの家族(rewrite)

ぼくら家族が住むこの家には もう一つの家族が住んでいる。 彼らは老若や男女の区別なく 酷く好戦的で無慈悲で野蛮で ぼくらの姿を見つけるや否や きゃーきゃーと奇声を上げて はきもの片手に襲ってきたり 猛毒の霧をふりかけてきたり 時に凍死させようと試…

1978年4月、上京

1978年4月のことだった。キャンディーズの解散コンサートをテレビでしっかり目に刻んでから、桜前線を追うようにぼくは上京した。 東京駅で中央線に乗り換えて、降りた駅が新宿だった。この街がぼくの東京デビューとなった。まったく初めての街なのに違…

頑張るリック君

知人の家にリックという、オスのミニチュアダックスがいる。かなり前から飼っていて、人間の年にするともう七十歳を超えているという。なるほど目は白内障になっていて、歩きもヨタヨタしている。 ところがそのリック君、そんな体になってはいてもあちらの方…