吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

がらけろく

その時間を通り過ぎる

ダラダラと歩道を歩いていると 顔見知りのじいさんが向こう側にいた。 声をかけられると話が長くなる。 幸い相手は気づいてないみたいだから ぼくは手に持ったスマホに目やり さも急いでいるふりをしながら サッサとその時間を通り過ぎた。 再びダラダラ歩い…

思っているほど

思っているほど男は強くない 思っているほど女は弱くない 思っているほど過去は近くない 思っているほど未来は遠くない 思っているほど一日は短くない 思っているほど一年は長くない 思っているほど動物は馬鹿じゃない 思っているほど人間はかしこくない 思…

切り株の上で

こうやって何十年経つんだろう。 この無人島にある切り株の上に座り わたしは船がくるのを待っている。 どこかの国から流れ着いた ビールのジョッキを手に持って いつまでもいつまでも海を見ている。 船の姿を見つけることがあれば この切り株の上に座ったま…

山賊の歌

何日か前の話だが夜九時頃 近くの峠を車で通った時に 突然すべての明かりが消え 何者かが襲ってくるような 殺気だった気配がしてきた。 峠といっても片道二車線の 見晴らしのいい直線道路で 昼夜を問わず交通量は多い。 何度も通っている道だけど 殺気を感じ…

自分が納得できるように

「無理しなくていいですよ」というのは、 少しの無理を期待されているということ。 よければ全てやってくださいということ。 やらないと人に迷惑がかかるということ。 そんな受け取り方を信じてしているから わたしはいつも無理をしてしまうんです。 みんな…

イメージしている歳よりも

イメージしている歳よりも 多くの年を抱えているので 身心への重圧が半端でない。 肩がこるんだ。腰痛なんだ。 足がつるんだ。頻尿なんだ。 血圧や血糖値は気になるし それを気にする心がきつい。 体の疲れは溜まっていくし 心の疲れは積もっていくし。 イメ…

未来

もしかしたらぼくたち人間は この一生を知りつくした上で 生れてきたのかもしれないね。 たまに先のことがわかったり 見えたりするのはそのせいで たまにそれを思い出すからだ。 未来全てを思い出せないのは 先のことはわからないという 先入観からくるもの…

加速スイッチ

昔からあまり良くなかった歯を 一気に治療したのが十数年前で ほぼすべての歯に手が加えられ 一部は人工の歯に取替えられた。 つまりサイボーグになったのだ。 以来、その歯を点検するために 年一、二回歯医者に通っている。 歯科医はギルモア博士よろしく …

夜の港

夜の港は心落ち着く場所だ。 お年寄りの間ではそうなっている。 夜の港は金のかからない場所だ。 恋人たちの中ではそうなっている。 夜の港は涙を捨てる場所だ。 傷心中の人はそうなっている。 夜の港は人が殺される場所だ。 ドラマの中ではそうなっている。…

赤信号

一々赤に引っかかる日は きっといい日に違いない 黄色に焦ることもないし 少しは憩う時間もあるし 激しい雨が窓を打つ日は きっといい日に違いない 窓の汚れを拭うだろうし 街の穢れを洗うだろうし 気温より寒く感じる日は きっといい日に違いない 風邪の予…

坊主頭

中学二年の三学期に、ぼくは一度だけ 坊主頭にしたことがある。その中学は、 条件はあったものの長髪自由だったし、 丸刈りが原則の野球部でもなかったし、 悪いことをしたわけでもなかったから、 別に坊主にすることはなかったのだが、 なぜか坊主にしたく…

夕方のにおい

夕方になると、ぼくは無意識に 石炭の煙のにおいを探している。 昔はどの家も風呂を沸かすのに 石炭を用いていたので、辺りは 石炭の煙のにおいで溢れていた。 おかげでぼくの夕方のにおいが 石炭の煙になってしまったのだ。 風呂が電気やガスになった現在 …

気づき

人より早くそのことを気づいた人が いまだそのことを気づいてない人に そのことを気づかせてやるのが友人で そのことで一生感謝される 人より早くそのことを気づいた人が いまだそのことを気づいてない人に そのことをひけらかすのがエリートで そのことで陰…

実験

1, 過去の自分にそこはこうしろ という念を集中して送ったら もしかしたら現状が変るかも、 という実験をしているのだが さて少しは変ったのだろうか やたら我が強くなった自分が ここに出来上っているのだが 2, 過去のあの人に自分の存在を 植付ける念…

心の奥底

ぼくの心の奥底には 鉄腕アトムの正義観があり おそ松くんの悪ガキ観があり トムとジェリーの友情観があり スーパージェッターの未来観があり ゲゲゲの鬼太郎の奇妙観があり あしたのジョーの一匹狼観があり ねじ式の世界観があり おれは男だ!の青春観があ…

オリンピック

色々な競技を見ていると、つい 思い入れが強くなってしまって 失敗しないか、こけやしないか 余計な心配で心が疲れてしまう。 だからぼくは少し距離を置いて、 あの競技やこの競技の経過だけ 結果だけを見ることにしている。 そうすれば勝てば喜べばいいし、…

グリーンピース嫌い

豆が嫌いだから豆は食べない。 特にグリーンピースがダメで ピースご飯のにおいだけでも 吐き気を催してしまうほどだ。 そういう料理はたのまないか 豆は入れないでと言っておく。 ところがそう言っておいても グリーンピースを乗せてくる へそ曲がりな野郎…

サクランボとキス

サクランボの茎を口で結べる人は キスがうまいんだと友人から聞き、 喫茶店に行っては、好きでもない クリームソーダを何杯もお代りし 必死に練習をしていたことがある。 そのせいで舌や顎などを痛めたり、 色んな苦労をしたのだが、何とか 結べるようになっ…

バナナランド

ぼくは毎日、弁当と一緒に バナナを持っていっている。 休日にスーパーに行っては 数本買い込み、その保存を それほど日の射し込まない 北寄りの部屋でやっている。 さて、毎日バナナを弁当と 一緒に持っていっているが 週のうち何日かは忙しくて 昼食をとれ…

サル社会

気づいてみると世の中は 遺伝子どおりのサル社会 とやかく言っても現実は サル知恵同士の騙し合い うまれた時から何らかの ボスになろうとサル芝居 友だちごっこで油断させ 奪い合いするサルカニ戦 勝者は敗者にぞんざいで 自由をうばうサルグツワ 敗者に居…

ヘビとムカデとハエの会話

気味の悪い話ですみませんです。食事中なら読まないで下さい。 ヘビ おれなんて胴体一本だけで 生きている動物だろう。だから こうやって体をくねらせないと 前に進めないんだ。たまに くねらせるタイミングが狂って わき腹が攣ることだってある。 腹一杯だ…

もったいない

力道山が編み出し、G馬場が受け継いだ 伝家の宝刀『空手チョップ』は どんな名選手のどんな必殺技よりも 強かった。あれさえマスターしたら どんな格闘技でも勝てるはずなのに なぜか今は誰も手を出さない。 ああ、もったいない。 鉄腕アトムが生まれ、鉄人…

ひと手間(がらけろく5)

経済効果 何の生産性もないと思われている 立仕事に従事しているわけですが じつは整骨院を儲けさせるという 経済効果をもたらしているのです 産業道路にて 前方にヘリウムガスを積んだ タンクローリーが走っている。 それを見て思ったことがある。 もしもう…

吉兆(がらけろく4)

吉兆数日前の朝、小鳥から頭に 糞を振掛けられてしまった。 糞害は左のまゆ毛まで達し 瞼に若干の温もりが走った。 朝からついてない日だ、と 今日の蠍座をうらんだのだ。 そのことを同僚に言ったら ラッキーじゃないかと言う。 空から糞が降ってくるなど め…

三学期の妖怪(がらけろく3)

三学期の妖怪三学期は早々と日が暮れる。 夕方になれば街は真っ暗で ついたりきえたりの街灯と つめたくさみしい風の音が 三学期の妖怪を連れてくる。 子供たちはすでに家に帰り 三学期の妖怪に怯えながら 真冬の宿題をこなしている。 二人はよろめいてるの …

ドクロ裁判(がらけろく2)

ドクロ裁判 世間があなたを善と認めたとします。 いい人ですよ。近所付合いもいいし。 この人が悪なんて絶対にありえない。 大勢の声があなたに味方しています。 しかしわたしはあなたを善としない。 なに故にそう言切れるのかというと、 わたしはあなたにと…

すったもんだ紀行(がらけろく1)

数年前にガラケーで、詩というか、何というか・・・ すったもんだ紀行 旅先ですったもんだありまして ヤツと仲たがいをいたしまして どうでもいい存在になりました。 この先どうなるか判りませんが 今のところはうんざりしてます。 自戒 自分を大きく見せよ…

高校時代の写真

実家で高校時代に撮った写真を見つけた。 何コレ。頬がコケてガリガリじゃないか。 だからだろう、目がやたら大きく見える。 これは後に撮った卒業写真よりもひどい。 その頃目に関した綽名だったのも頷ける。 髪は思っていたほど長くなかったんだな。 とい…

寝不足

ぼくの心が勝手に体験を作り出し、 ありもしない青春を楽しんでいる。 行ったことのない海辺のドライブ。 繋いだことのない彼女の手の感触。 ほのかに香るシャンプーのにおい。 心は全てを鮮明に描き出している。

吉兆

数日前の朝、小鳥から頭に 糞を振掛けられてしまった。 糞害は左のまゆ毛まで達し 瞼に若干の温もりが走った。 朝からついてない日だ、と 今日の蠍座をうらんだのだ。 そのことを同僚に言ったら ラッキーじゃないかと言う。 空から糞が降ってくるなど めった…