2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧
突然だった。 鮮烈だった。 目の前にいるのは、いつも 夢に出てくる憧れの人なのだ。 ぼくは目を疑った。 そんな馬鹿なと思った。 だけどこれは現実だった。 そうなるともうだめだ。 現実だと肯定することで、 ぼくは恋に落ちてしまい、 そこまでの恋は過去…
ゆめ通りに家を建てるなら 今すぐに建てたほうがいい。 ここはすぐに買い手がつくから 早く手を付けたほうがいい。 資金なんていらないんだから ただ願うだけで叶うんだから とにかく今想像できる 最高の家を建てたらいい。 悲しい女も、貧しい男も 疲れた犬…
ある日の学校帰りのことだった。 校門の前でぼくたちは、 同じクラスの女子数人としゃべっていた。 小春日和の穏やかな日で、 外の日差しが妙に心地よい。 その陽気に浮かれたのか女子の一人が、 なぜかピョンピョン飛び跳ねている。 少し天然が入ってはいる…
家に帰ってから、いつも まっ先にやっているることがある。 生の確認だ。 今、自分が 本当に生きているかどうかを 確かめるのだ。 鏡を見ながら、 とりあえず今日一日を振り返る。 事故に遭ったりしなかったか? 突然倒れたりしなかったか? 思い当たること…
せっかく好きなビールをやめて、 せっかく好きなうどんをやめて 昼飯をおにぎりと濃いお茶のみにして、 どうにかメタボ検診をパスしたというのに、 またしても腹が出てきた。 先日、数ヶ月履いていた夏ズボンから 間物のズボンに替えたのだが、 履いたとたん…
人の顔を描いて何が面白いのだろう。 画を描くことが好きな者にとっては、 この作業は楽しいことだ。 何でも自分探しに置き換えられる者にとっては、 この作業は有意義なことだ。 だけど画に楽しみを持てない者にとっては、 この作業は苦痛なことだ。 髪型が…
「グッドモーニング、ボーイズ・アンド・ガールズ…」 -何だ何だ、この英語は。棒読みじゃないか。 -洋画で聞いた流れるような英語とは違う -これじゃ外国人と会話が出来ん。 -ついでにこのおばさんの顔も嫌いだ。 初めての英語の授業、 ぼくは教師の口か…
夜明け方に目が覚める時は 決まって腹が減っている。 だけどその時間に目が覚めたといって 何か食べ物があるわけではない。 だから水やお茶で腹をごまかしている。 とはいえ、いつまでも ごまかしきれるもんじゃない。 そんな時はまた寝ることにしている。 …
「馬鹿笑いはやめなさい」 幼い頃から何十回何百回と言われてきた言葉だ。 最初は馬鹿笑いの意味がわからなかったが、 年を重ねていくうちにその意味もわかってきた。 「何で馬鹿笑いがいけないんだ?」という 素朴な疑問は持っていたんだけど、 とにかく親…
あとふた月寝るとクリスマスになり、 すぐに正月がやってくる。 そのことを考えると憂鬱になる。 とにかく年末年始というのは 忙しい、休めない、報われない、 という疲れの三拍子が そろってやってくる時期なのだ。 学生の頃まで年末年始というのは、 クリ…
何かちょっと違うな。 体罰なら一発二発で終わるはずだ。 ところがこの技術科の教師、 こちらが抵抗しないのをいいことに 手加減無しのビンタ二十発だ。 このビンタ二十発の原因というのが、 授業中のおしゃべりだ。 小学校の時もおしゃべりで ビンタを張ら…
青い草のにおいのする詩を 書きたいのであります。 青い草のにおいのする言葉を 伝えたいのであります。 内容はともかくとして、 幼い頃に遊んだあの 野原のにおいがうまく伝われば ぼくの中では大成功なのであります。 いつも書いている、政治がどうだとか …
そう、ぼくたちはいつの時代からか、 元気じゃなくなったんですよ。 キャンディーズが解散した後からか、 山口百恵が引退した後からか、 それははっきりしないのですが、 ひとつの時代を失うたびに、 確実に張りをなくしていったのです。 そんな張りのない生…
知り合いに学校の先生がいるのだが、 ボーナスが四割減ると言って嘆いていた。 その学校の先生方は口々に言っているそうだ。 「誰が民主党に入れたんだ?」と。 えっ、あんたたちじゃないのか。 じゃあ誰が入れたんだ? 元々ここは民主の強い地盤で、 やはり…
仮に嫌な奴がいたとしても、 嫌な奴と思いさえしなければ、 そいつは嫌な奴にはならない。 いくら生理的に受け付けなくても、 嫌という言葉を当てはめなければ、 それで終わったことになる。 あとは知らん顔をしておけばいい。 無理にいい奴だと思う必要もな…
たとえば今日の仕事が終わり、 「さあ帰ろう」と会社を出た時に、 職場に忘れ物をしていることに気づく。 そこで職場に戻ると、 なぜかタイミング悪く、 「あ、いい所にきた。 ちょっとこれやっといて」 と軽いノリで声がかかる。 ややこしそうな仕事なのに…
駅から放射状に伸びる道が街を作っている。 かつてこの沿道には多くの店が建ち並び ここは県内でも有数の繁華街だった。 ところが今世紀に入ってから、 店はどんどん閉鎖していき、 その跡は無意味な駐車場になっている。 毎日がお祭り騒ぎだった市場の通り…
秋風の吹く晴天の富士スバルラインを バスは軽快に登っていく。 バスガイドの説明そっちのけで ぼくたちは好き勝手に歌をうたう。 誰かが『岬めぐり』を歌っている時、 窓から湖が見えてきた。 それが思い出のひとつになった。 白糸の滝で濡れながらの写真撮…
何年か前から寝ている時と寝起き後に 頭が痛くなるようになった。 偏頭痛とは違った痛みだ。 最初の頃はすぐに治っていたので あまり気にはしてなかった。 ところが最近になって痛みが増し、 さらにその痛みが止まなくなって、 昼間もボーッとしていることが…
朝起きると、 いつもぼくは本能に 今日という日を聞いている。 「今日はいい日ですか?悪い日ですか?」 だいたい本能はわかっていて、 いろいろアドバイスをしてくれる。 「今日はいい日だから飛ばしていけ」 「今日はあまり無理をしないほうがいい」 その…
平和は勝ち取るものではない。 勝ち取るものであるとするなら、 それは戦争だ。 だいたい平和だって何だって 勝ち取ろうなんて思っている人は、 いつも心に戦争を持っているんだ。 自分の心の戦争も解決出来ないくせに、 どの面下げて平和を語るんだ。 そう…
ギブソンに『ダヴ』という名の アコースティックギターがある。 若い頃はぼくたちギター仲間の憧れで、 誰もが欲しがる一本だったが、 あの時代の輸入物はやたらに高く 円の力が弱かったことも手伝って、 そうそう手の出る代物ではなかった。 そうした輸入物…
蛇口のつまみは欧米人だ。 鼻が高くて彫りが深い。 ちょっとつまめば友人の、 猫背なシャワー氏の 顔一杯に汗が噴き出す。 逆に回せば同族の、 おでこの広いカラン氏の 大きな鼻から水が滴る。 くちばしの長いシャンプー鳥が 首をすくめてスカスカと鳴く。 …
1, 一昨日の強い酒がなかなか抜けずに、 連休初日の昨日は 家の中で過ごしてしまった。 明けて二日目の今日は 何とか気分も良くなった。 だけど何もやる気が起きず、 結局は昨日と同じく、 寝ては起き、起きては寝て、 を繰り返していた。 ただ昨日と違っ…
嘘でも何でも 奴ら声を張り上げて 主張しますもんね。 で、主張が通らなくなると 怒り出す。 そしてあげくに涙でしょう。 こちらが涙に弱いということを 奴らはよく知ってるんですよ。 だから平気で泣けるんです。 だって、こちらが折れると、 あとはケロッ…
ウェブ日記を始めたのは 二十世紀最後の年だった。 その前の年にパソコンを手に入れ、 ホームページという存在を知り、 とりあえず、それまでノートなどに 書きためていたものを打ち込んで、 小出しにサーバーに上げていた。 内容は多岐にわたっていたが、 …
中学の頃だったが、大分に旅をした時に 宇佐八幡の神馬に噛みつかれたことがある。 噛まれたのはヘソの右下3センチあたりで、 えらく長いこと噛み痕が残っていた。 「おや、消えとる」と気づいたのが 厄年を過ぎた頃で、 それ以来あまり物怖じしなくなった…
たとえば腹が痛い時、 決まって腹は冷えていて、 逆に健康を感じている時は、 決まって体は温まっている。 それは心も同じことで、 苦しみだとか悲しみだとかを感じる時は、 決まって心が冷えていて、 逆に喜びだとか幸せだとかを感じる時は、 決まって心は…
1, たとえその日が何もやることのない、 暇な暇な一日だったとしても、 その一日はぼくにとって必要な一日なんだ。 たとえそこがつまらない場所で、 つまらない風景が展開していたとしても、 その風景はぼくにとって必要な風景なんだ。 たとえやっても無駄…
遠い未来の人々は、 二十世紀を振り返る時、 アメリカとソ連を中心とした 戦国時代だと諷するだろう。 闇の時代だとも評するだろう。 自由がなかったとも言うだろう。 人類はすべて兵士だったとも言うだろう。 二度の大戦や核を取り上げ、 人類淘汰の時代だ…