2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ここはマンションの六階なのに 草むらにいる虫たちの ギィギィギィというだるい声が 窓のすぐそばで聞こえている。 窓の外はストンと真下に国道があり、 毎日毎日バスにパトカー救急車、 三日に一度は消防車、 夜中になると暴走車。 その道沿いの草むらにい…
こうやって毎日ここに文章を書いている。 最初は大雑把な文章を書いていたのだが、 いつしか細かな言葉を追うようになった。 つまりナンバープレイスの数字を探すように、 神経を尖らせて言葉を探しているわけだ。 そのことに気づいてからぼくは、 ここに文…
先日、関連会社の女の子が、 「来週から富山に行かなければならないんですよ」と言っていた。 「富山…、仕事で?」 「そうなんです。何回か行ってるけど、あそこ遠いんですよ」 「北陸やけね」 「ええ」 「富山といえば、今でも薬売りとかおるんかねぇ?」 …
寝ようかどうしようか、 微妙なタイミングでこれを書いている。 いちおう布団の上にいて、 今うつぶせになっている。 枕元のパソコンの横にはなぜか、 『20世紀少年』が置いてある。 そういえばこの姿勢、 けっこう以前からやっていて、 古くは三十数年前…
お年寄りとすれ違った時、 ツンと鼻につくものがあった。 「ああ、これが加齢臭か」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅いでいた。 ある人と打ち合わせをしていた時、 思わず顔を背けたことがある。 「ああ、ひどい口臭だ」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅い…
「ぼくはウツなんですよ」と 自慢げに言う男がいる。 薬を飲んで治療しているらしい。 おそらく精神安定剤の類だろう。 かつて精神安定剤に頼りすぎて、 精神が不安定になった女を ぼくは知っている。 突然家の中で花火を始めたり、 突然警察に自殺予告をし…
たとえそれが人民の反日に火を付け、 敵愾心を植え付けるために企てた 上層部の巧みな戦略だったとしても、 一般人民はそうは捉えない。 日本人は野蛮な民族だと信じ込み、 日本人は怖い民族だと信じ込み、 日本人は人殺し民族だと信じ込み、 いつしか日本人…
突然果物の腐ったような臭いがした。 墓参りに行く車の中でのことだ。 てっきり母が腐りかけの果物を 持ってきているとばかり思っていた。 ところがお供物を見てみると、 酒とビールとジュースとおはぎで、 果物なんてどこにもない。 墓参りから帰る時も引き…
職場に遠距離恋愛をしている女の子がいて、 口を開くたびに言っている。 「遠距離恋愛はすれ違いが多くて大変です」と。 聞くと彼氏はアメリカにいるらしく、 時差がそのすれ違いを作っているということだ。 ぼくは時々そのことについて 相談に乗ってやるこ…
会社の帰りにスーパーに寄ったら、 見ず知らずの人から、 「納豆はどこですか?」と聞かれた。 「ここの人間ではないですよ」と言うと、 「あっすいません」と言って向こうに行った。 こういうことはよくあることで、 大型の電気専門店で、 アクオスの説明を…
その会社の採用基準は 強力な縁故の有無と、 溢れるばかりのセクシーさだ。 学歴や実力は参考程度で、 仮にそれゆえに内定していても、 最終的には取り消される。 だからこそその会社は、 狭き門と呼ばれるんだ。 裏金遣っても同じこと。 何度受けても同じこ…
床屋の後の街並みは、 曇った空と青い草。 青い草とたわむれる、 色の褪せたモンキチョウ。 黄色い蝶に手を伸ばす、 少し太めの黒い猫。 黒い猫のすぐ横で、 赤くくすぶる彼岸花。 そんな季節もお構いなしに、 肌露出する茶色髪。 茶色髪をなびかせる、 無色…
気になったのは法子の横に 素早く出てくる字幕かな。 LIVEなのに法子の口と ほとんど同時のあの速さ。 あれだけ速く出せるのなら、 野球中継もわけないだろう。 気になったのはみずほの衣装。 コスプレなのか、何か浮いている。 スーツに着替えろ、スー…
ショッピンセンターの駐車場は、 営業社員でいっぱいだ。 商品・資料に占領された 社名入りの車の中で、 窮屈そうに身をかがめ、 営業活動に精を出す。 時間なんか気にもせず、 汚い足を投げ出して、 時折いびきも響かせて、 必死に社名をアピールする。 シ…
妙に緊張感のないくたびれた影が、 おまえの体につきまとう。 あらためて問おう、いったい おまえはこれまで何をやってきたんだ。 きついからとか面倒だからとか言っては、 怠けてばかりきたんだろうが。 少しでも張りのある生活を送っていれば、 こんなこと…
ちょいと小窓を開いてみると そんじょそこらの風が吹く 冷たからず、暑からず 差し障りのない風が吹く 所詮馴れ合い、譲り合い 先の見えない風が吹く 高速、増税、マニフェスト 夢語れない風が吹く ちょいと小窓を開いてみると そんじょそこらの風が吹き そ…
何という虫なのかは知らないが、 さっきから窓の外で一匹の虫が 飽きもせずに鳴いている。 常に一定のリズムではなく、 一句一句の長さに 微妙な変化をつけながら、 彼は鳴き続けている。 ぼくはしばらくその声に 耳を澄ませていたのだが、 ふとその微妙なリ…
友愛という言葉を聞いた時、 多くの20世紀少年ファンは それで民主党の勝利を予知しただろう。 だけど同時に20世紀少年ファンは きな臭さも感じていただろう。 宇宙人のお面をつけたような代表がいて、 万丈目的な人物もいる。 巧みにマスコミを利用して…
晩酌をビールから焼酎のロックに変えた理由は、 何も尿酸値ばかりを気にしてのことではなく、 実はメタボ対策の意図もあったのだ。 お酒を変えたのが六月末だから すでに三ヶ月目に入っている。 思惑通り尿酸値はクリアして、 痛風の恐怖もなくなっている。 …
味はそれほど悪くない。 どちらかというとおいしいほうだ。 値段もそれほど高くない。 どちらかというと安いほうだ。 だけどこの店はいつ行っても、 お客があまり入ってない。 お昼のかき入れ時もそうだし、 お酒を出す夜にしてもそうだ。 立地もそれほど悪…
お風呂に入って考えている。 何でお風呂を湯船というのか。 お風呂の古い呼び名なのか。 昔の何かの故事なのか。 お風呂に浮かぶ 自分の体がそうあるからか。 ゆたゆたというあの感触を 船の動きに見立てたからか。 辞書パソコンで調べれば、 答はすぐにわか…
まだまだ先のことと思っていたが、 ついにこの日がやってきた。 この時期に不似合いな 冷たい風が吹くからなのか、 今日のニュースであの男とか あの女とかの顔を見たせいなのか。 いずれにしても刻々と、 寒い季節はやってくる。 そんな季節の予感がすると…
太宰府でやっている 阿修羅展に行ってきた。 二週間ぶりの拝観だったが、 前と大きく違っていたのは、 初詣さながらの人の多さだ。 駐車場はどこも満車状態で、 車を駐めるのにひと苦労。 天神さまの細道は おみやげ屋さんに人が並び、 阿修羅展の入口は 拝…
秋の虫が鳴いている。 彼らは野外の草むらとかに 身を隠して鳴いているのだが、 あくまでも彼らは鳴いているだけで、 実際にその音が鳴っているのは、 実はぼくたちの身体の中だ。 つまり彼らの声が電波であって、 ぼくたちの身体がラジオだということだ。 …
いくら流行っているからとはいえ、 背中とか肩とか太ももとかに タトゥーを入れた人が歩いていると えらく浮いて見えるものだ。 本人はそれでいいんだろうけど、 周りはみな距離を置いている。 さらにぼくのような旧人類が見ると、 「モンモン」などという言…
いくら考えても、 いくらひねり出しても、 何も出てこない時は、 早く寝たほうが勝ちだ。 明日も仕事だし、 二日酔いも避けられるだろうし、 今だといい夢が見られるだろうし、 結婚生活が幸せになるし…。 とにかく、寝ないと明日が始まらない、 いや、起き…
ある研究所の調べによると、 寝室を一緒にする夫婦の多くが 結婚生活に幸せを感じているということだ。 寝室が一緒といえばうちがそうだが、 うちの場合、寝室で寝ているのは、 ほとんどの時間嫁さん一人で、 ぼくは別の部屋で趣味に打ち込んだり、 そのまま…
主なお金の遣い道、 十代までは本代と駄菓子代。 十代は本代とレコード代とギター代。 二十代は本代とレコード代とオーディオ代。 三十代は本代とCD代とカーローン。 四十代は本代と車の維持費と家のローンで、 今もほとんど変わらない。 けっこうワンパタ…
-日本というのは、 ユーラシア大陸の 東側に浮かぶ島国で、 宇宙人が支配している。 友愛を国教とし、 五族協和を国是とする 多民族国家でもある。 -春は暑い日が続き、 夏は冷たい風が吹くこともある。 秋は紅たびたび台風に襲われ、 冬はそこそこ暖かい…
タバコをやめて二年半が過ぎた。 その間一度だってタバコを吸いたいと思ったことはない。 これは禁煙ということではなくて、 ぼくの人生にタバコが必要なくなったためで、 これから先、ぼくがタバコを吸うことはないだろう。 タバコとはすでに縁が切れている…