吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

吟遊詩

真っ赤なハイウェイ

真っ赤なハイウェイ、きみと二人飛ばして 海まで行こうよ、朝が来る前に 飛び散る灯りが、きみのすがた隠して 飛び交う風に、疲れを忘れて グレープフルーツ、ぼくの口に含ませ 中也のうた口ずさむ、きみを見ていると 懐かしキネマの、ひとコマのように 小さ…

南の旅

見おろせば遙かな海が見える 南の国にぼくはやってきた 風にのって降りてみようか もっと空を飛んでいようか この街はパイナップル通り 見れば街は人だかり うん、一つ買ってみようかな だけどそれほどお金もないしね 汗が流れてひと泳ぎ やけどの砂で甲羅干…

満員電車

飽くことのない人の夢が 真夏の日々の汗に消えていく 取り乱さずに言葉を吐けば 見えぬ疲れが息を詰まらす 幸せかい、こんな人混みが 楽しいかい、こんな人混みが 休む間もなく満員電車で 生暖かい風、身にくらって 夜はまだかと時を恨んで 帰るまではと体裁…

雨の降る夜は

雨の降る夜はたった一人で 蚊取り線香の光を見つめて 蛙といっしょに歌をうたうと 見知らぬ人が傘をさして通り過ぎる 街は濡れ、人は濡れ 辺りは変わり、色も濃く 遠くの船の音に魅かれて 異国の町に立っているような いま、雲の隙間を星が 瞬きより速く過ぎ…

卒業

雪は残り花は遅れていた。 しかし彼らは知り尽くしていた。 一つの旅が終わったことを。 みんなどこでもいいから吹き飛びたいと言った。 というのも彼らの行くところはなかったから。 一つの旅が終わった時に。 薄暗い空から雨も降り始めていた。 でもちょっ…

春一番歌った空に

暖かな日差しの中に 風を乗せてさあ歌おう そんな時だってあったんだよと 悔いにも似せた思いも乗せて 吹きすぎる風はいつもそう 喜びや悲しみを運ぶ そんな風にまた新しい風は 新しい思い出を運ぶ 春一番歌った空に君はいない だけどもしもそこに君がいたら…

今日からぼくは

そこに行くと梅の匂いがするよ そしてぼくはもう忘れないよ お日様を背中に歩いていると 誰かがぼくを押しているようだ ほらこの坂でも早く 歩くことが出来るからね 今日からぼくは? うん、難しい問題だね もう眠ってしまいたいくらいだ まだ昼だというのに…

春一番

顔を洗って、風が肌を潤すとき 誰かがささやく、変わったねあなたも うん、もう春だもの 春一番、ほらもう冬を忘れてる 風の光に白い山が笑うとき 誰かがささやく、長くなったね髪も うん、もう春だもの 春一番、ほらもう冬を忘れてる 温かい風に川の水も温…

卒業Ⅲ

面倒臭さも手伝って ぼくは卒業という舞台に それまでやってきたことの何もかもが もうどうでもいいような気がして そこからのことを考える 気力もなくてね ただ馬鹿のように笑っていたよ それにしては白髪も増えたな 古い汗のしみこんでいる 体育館の床の上…

朝ぼくはいつものようにお茶を入れる 小鳥たちはいつものように歌をうたう またぼくは新しい一日を迎える けたたましく響く水蒸気の音 かき消されていた昨日までが蘇る それがぼくの一日の始まり 一時の瞑想は外の音を静め 快い歌を部屋の中に灯すと カーテ…

ゲームは終わった

ここまでだよ線路の行き着いたところは ―今までは行ってみたかった でも何だこのいらだたしさは ―もう自由を失ったように思えて ぼくは線路を間違えていたらしい ―そして君も ここには散ったばかりの桜が ―そして私は見せ物じゃないよって そうだよ、ここま…

16度目の春

永遠へと続く絹の道の上を 幸せの黄色いリボンは舞っていた 16度目の春はそんな時やってきた 夢にまで見た君の笑顔を乗せて ぼくは初めて大きな目を開いた それが君への愛というぼくの旅立ち 大きな風が小径を駆け抜けていった でもそれもぼくには苦にはな…

卒業Ⅱ

ついさっき雨はやんでしまったばかりなんだから もうこれ以上ぼくを苦しめないでほしい いつも同じように君はぼくを窺っている でももうぼくの目には君の顔なんて映らない 君と話し合えた時、もっと打ち明けるんだった 同じ言葉を二度も使わないぼくなんだか…

生きてるかい?

ぼくは今、白い葡萄酒を飲み干し すべての人に与えた苦痛を考えている たぶん二度と会えない人もいるはずだ 生きてるかい? あまり話をしたこともなかったけど 10年目の醜態は君の想い出 いつも君はぼくの焦点だった ショートカットの似合う子だったけど …

いつまでも歌っていよう

野に出ては君と二人で いつまでも歌っていよう 古い草が足にからんでも いつまでも夢は駆け回る 大声を張り上げてみれば いつまでも歌っていられる 力が尽きてしまっても まだまだ口は動かして 夜になっても朝が来ても いつまでも歌っていよう 心が張り裂け…

さようなら

外に出ると吹き飛ばされそうな一日 何もかもがすべて失われるような風 私は今歩いている、突風を背に受けながら 紙くずが空に舞い上がる さようなら もう帰ってこないのだろう 道の上には何一つ落ちてないから 私は今歩いている、突風を背に受けながら 思い…

いっしょに歩こう

夜も濃くなる街 寂しさだけの遠吠え 雨もやんだばかり もう傘をたたんで 通りすぎていく車 照らしていくネオン いっしょに歩こう たった二人だけで 雲の透き間の星 かすかに影を映し 夢のようなランデブー 公園のベンチは濡れ 何もかも忘れ すべてはひとつ …

春の夜

夜が来て 星がともる 夢から覚めた 月も色づく なぜか人は 急ぎ足で 行きすぎる 道ばたには 小さな花が 眠たげに 目を閉じる 夜を忘れた鳥が 家を探し 飛んで行く 目の前が急に 明るくなって 夜もまるで うそのような公園に 君と二人 これからずっと 暮らし…

ゆき

ゆき、疲れちゃった どこかに座ってもいいかい ゆき、いつかのように 疲れを癒してほしい ゆき、夢を見るよ いつも知らん顔の ゆき、どこにいるんだ 早く出ておいでよ ぼくは間に合わせの歌で きみの面影語ってる 夜になると星をながめ きみの妖精浮かべてる…

夢のかけはし

夢のかけはしをひとり渡ろう 風もなく、波もなく ただ静かな闇の上を 通り過ぎる日よ、音もなく続く かもし出す街の灯は 影も映さず ああ、なぜに人はいぬ 声を上げ振りかえる日々よ 時は過ぎ、愛は朽ち 切ない夜よ 夢のかけはしは、まだ遠く長く うたもなく…

愛のゆめ

ぬれた瞳に笑顔を込めて 君がぼくの瞳を見つめた時 小さな風は息を潜めて 二人だけの世界に愛を送る かけがえのない君の手を 小さく握る時にも ぼくは変わらぬこの愛で 君をつつもう 揺れる心は過去を忘れて 今あるただ二つの影を映す 昔描いた小さな夢は 限…

冬の夜

夜深く、 雪の白く降り積もり 街はなお寒く、 夢はまだ遠く 風強く、 服の隙間をさして 身は重く辛く、 後ろ姿寂しく 揺れる春の日は遠く 待ちわびた花のつぼみ涙を落とし 昨日までの明るい笑顔 また今日深く暗く沈み 凍りつく、 ぬれた道あてもなく うつむ…

好きになってもいいのかい

鳥が鳴くからぼくは 眠たい瞬きを見せる 君はさっきからテーブルのそばを うろうろしている ああようやく朝が来たんだね ねえ、好きになってもいいのかい あまりに怖ろしい夢が 頭の中をちらついていた 夜に生まれたはずの 悪魔は 今君の天使に消えていく、…

君が欲しい

朝焼けが差し込み今日の運命を決める朝に 灰色がかった雲に薄く光が差す昼に カラスが泣き叫びコウモリが群がる夜に 君が欲しい みんなが美しいという花にそっぽを向く時 みんながすばらしいという風に向かって歩く時 みんながこの時間がにせものだと思う時 …

明日はきっと

何もいいことがないから こうしてトランプ切るのです ほら明日はすばらしいと出た 願い事も叶うと出た 逢いたくても逢えないから こうしてトランプ切るのです ほら明日はすばらしいと出た 明日はきっと逢えると出た 嘘でもいいのです 一時しのぎでいいのです…

19の頃

雨が降りしきる 小さな街の中を いつも傘もささずに ぼくは歩いていた 19の頃ぼくには 何も見えなかった 時の流れでさえも いつも自分を作っては 日々を送っていた 大人びたしぐさに 人目を気にしていた 19の頃ぼくには 自信もなくて つまらぬ人の言葉に…

レジャーモービルの女

夜も越え 薄ら灯り 揺れるまなざし 知った彼の 懐かしい レジャーモービルの女 切れ長な 光る瞳 濡れた道を 振り返り 時を忘れ レジャーモービルの女 飛び出すな熱い汗よ 風に奪われ消えてしまう 疲れを知らない 気ままな女 夜は明けた ため息つく 窓は曇っ…

ぼくだって人間ですから

ぼくだって人間ですから 泣きたいことだってありますよ 自分を騙す心なんて 持ち合わせてはないんですから ぼくだって人間ですから 大声出して笑ってもみたいですよ そんなにぼくの心は いじけてはないんですから ぼくだって人間ですから ひとりぼっちはいや…

夜汽車

風よ、ぼくはもうすぐ行くよ 君の元へ走る夜汽車に乗って はやる気持ちを押さえながら 目を閉じて朝を待つよ まどろむ星は夜を映す 遠くに浮かぶ街の灯り ふと君の影を窓に見つけ ぼくは慌てて目を閉じる 暑い、暑い夜汽車よ ぼくを、ぼくを乗せて 西へ、西…

ギターはなく、人はなく

夢はなく、人はなく 花はなく、泥道ばかり うたを求め、目はうつろに ギターはなく、人はなく 愛はなく、恋になく 涙は落ち、石につまずき うたを求め、心は暗く ギターはなく、人はなく 満月ともいえない月が 張り巡らした雲に覆われ 夜も深くシトシトと 光…