2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
今日は休み。昼寝しようかどうしようか、微妙なタイミングでこれを書いている。いちおう布団の上にいて、今うつぶせになっている。枕元のタブレットの横には、読みかけの『鎌倉ものがたり』が置いてある。 そういえばこの姿勢、けっこう以前からやっていて、…
小学生の頃ぼくは怒ることのない子だった。他人から馬鹿にされても意地悪されても、まったく怒ることはなかった。 決して気が弱かったわけではない。怒りがこみ上げることがなかったのだ。 「なんで怒らないのか」 と、そのことで友だちから不思議そうな顔を…
『これはポケットに入れておかないと、いつか落としそうな気がする』 そう思った時は、決まってそれをどこかに落としている。だから落としそうな気がした時は、それをポケットに入れるようにと言い聞かせている。 ところが、実際にそんな気がした時、ぼくは…
ギブソンに、『ダヴ』とか『ハミングバード』という名のアコースティックギターがある。高校の頃、ぼくたちギター仲間の憧れで、誰もが欲しがる一本だったが、あの時代の輸入物はやたら高くて、そうそう手の出る代物ではなかった。 そうした輸入物への漠然と…
関門橋が開通した頃だったか、友人と門司港に遊びに行ったことがある。 門司港は市の東の端に位置し、西の端にあるぼくたちの住むの街からは、およそ30キロ離れている。それだけ離れていれば、国鉄(当時)を利用するのが普通だが、ぼくたちはその方法をと…
20歳を過ぎてから40歳過ぎまで、ぼくはテレビをあまり見てこなかった。だからなんだろうけど、80年代と90年代の流行が、ほぼほぼ欠落している。 その頃どんなファッションが流行っていたのかも憶えてないし、その頃どんなドラマが流行っていたのかも…
家に帰ってから水道水でうがいをする。口に入れた瞬間、あまりのまずさに水を吐き出してしまう。こういうことがしょっ中ある。いくらきれいだからといっても、最近の水道水はうまいものではない。 そういえば子どもの頃の楽しみのひとつに、広場で野球をする…
「先祖に小学校の校長先生がいた」というのが、うちの一族の自慢で、小さい頃からよく聞かされていた。 高校の頃に馬鹿やっていた友だちが校長をやっていたくらいだから、現在の校長先生というのは、そこまで価値を持たないのかも知れない。が、先祖の活躍し…
昨晩9時頃だったか、スーパーの惣菜コーナーで買った唐揚げを食べたのだが、朝になっても胃の中にニンニク臭が残っていて、その臭いが気になって仕方ない。 昔は唐揚げを食べても、ニンニク臭を感じたことがなかった。というか、ニンニクが入っているなんて…
今から四十四年前、東京に出た年のちょうど五月のこの時期のことだったが、集中力の欠けた、気合いの入らない毎日をぼくは送っていた。 五月病だったのかというと、そうではない。実は腫れ痔に悩んでいたのだ。別に不衛生にしていたわけではないのだが、なぜ…
先日、友人から電話が入った。 「おまえ、トーカイシを知っとるか?」 その言葉を聞いて、ぼくの頭の中を、『十日石』という文字がよぎった。 『十日石、さてどんな石だったろうか?』 いや、友人は石のことを聞いて来るような人間ではない。 『トーカイシ、…
朝、嫁さんのあとに トイレに入る時 ふと『何でこの女の 生活臭の中にいるんだろう』 なんて思うことがある。 昼間、嫁さんと二人で 買い物に行っている時 ふと『何でこの女と 共に歩いているんだろう』 なんて思うことがある。 夜間、嫁さんと二人で テレビ…
「気分は健康状態にあるのだが、腹の調子がしっくりこない。それはきっと野菜不足のせいだ」 そう思って、数日前から野菜ジュースを飲んでいるのだが、その野菜ジュースを飲む時、決まって東京で一人暮らしをしていた頃を思い出す。 あの頃は、朝は飯抜き。…
きっと若い頃に読んだ論語の影響だろう。変な気癖がついている。「われ日にわが身を三省す」という言葉が心を責めて、いつも反省を促してくるのだ。 そのためにひどく心が疲れてしまう。しなければならぬ反省ならともかくも、しなくてもいい反省までしてしま…
以前は何の苦もなく出来ていたことなのに、西洋化した生活のせいで出来なくなってしまったことがある。それはうんこ座りだ。 うんこ座りをやっていた頃は、体はわりと柔らかかった。肩こりや腰痛などという、疲れを連想する言葉を使うこともなかった。 そう…
ぼくの通った小学校から少し離れた地区に、一面田んぼだらけの場所があり、そこに仲のいい友だちの家があった。 夏の暑い日、その友だちの家の庭に巣くっていたアリジゴクを観察しに行ったり、冬の寒い日、グリコアーモンドチョコレートの懸賞賞品だった「お…
某家電専門店に勤める知り合いから、こういう話を聞いた。 初老の男性が販売員に声をかけた。 「このテレビを届けてくれ」 「ありがとうございます。では、こちらにお届け先の住所をお書き下さい」 「何で書かんとならんのか」 「えっ、配達されるんでしょ?…
駅から放射状に伸びる道が街を作っている。かつてこの沿道には多くの店が建ち並び、ここは県内でも有数の繁華街だった。 ところが今世紀に入ってから、店はどんどん閉鎖していき、その跡は無意味な駐車場になっている。 毎日がお祭り騒ぎだった市場の通りも…
社会に出てから四十年以上経つ。ずっと流通業に携わってきたわけだが、現在働いているところは、家から歩いて行けるくらいに近い場所にある。ここまで近いのは初めてだ。一時間以上もバスや電車に揺られ、最後は走って職場まで通っていたのがうそのようだ。 …
確固たる自信のないまま生きてきたから、どうもセルフイメージがよくない。端から見ると、いかにも自信家でそつなく見えるかもしれない。だけどそれは表向きを繕うために編み出した、ぼくの忍法だ。そうだ、みんなは誤魔化されているのだ。ぼくはぼくの影を…
漫画雑誌を初めて自分で買ったのは小学二年生の時で、『オバケのQ太郎』目当てに買った少年サンデーだった。 それからサンデーを定期購読するようになり、『おそ松くん』のギャグに笑い、『パーマン』のマスクに憧れ、『ミラクルA』『W3』や『伊賀の影丸…
たとえば今日の仕事が終わり、「さあ帰ろう」と会社を出た時、職場に忘れ物をしていることに気づく。 そこで職場に戻ると、なぜかタイミング悪く、 「あ、いい所にきた。ちょっとこれやっといて」 と軽いノリで声がかかる。ややこしそうな仕事なのに、ついつ…
たとえばクリスマスだとか誕生日だとかに、ぼくは嫁さんにプレゼントをしたことがない。逆に嫁さんからプレゼントをもらったこともない。お互いそういうことが好きではないので、それはそれでいいことにしている。 そうそう結婚記念日もそうだ。だから嫁さん…
昔はよく車で遠出をしていた。日帰り宮崎だとか、日帰り鹿児島だとか、北九州からだと日帰りがきつそうな場所にも、けっこう足を伸ばしていた。 中でも好きだったのが阿蘇へのドライブで、雄大な風景を目にすると、心が洗われる思いがしたものだ。 黒川だと…
職場に遠距離恋愛をしている女の子がいて、口を開くたびに、 「遠距離恋愛はすれ違いが多くて大変です」と言っている。 聞くと彼氏はアメリカにいるらしく、時差がそのすれ違いを作っているということだ。 そのことについて、時々ぼくも相談に乗ってやること…
たとえば腹が痛い時には決まってお腹が冷えていて、逆に元気な時には決まってお腹は温まっている。 それは心も同じことで、苦しみだとか悲しみだとかを感じる時には決まって心が冷えていて、逆に喜びだとか幸せだとかを感じる時には決まって心は温まっている…
学生の頃、何度も遅刻していたから人のことをとやかくは言えないが、会社勤めをしていた頃の部下の遅刻には往生しましたわい。 別に悪意を持って遅刻しているのではない。ちょっと変わった女子ではあるが、遅刻が悪いことはわかっているし、根が素直なので注…
昭和43年はグループサウンズの絶頂期で、タイガース、テンプターズ、スパイダース、オックス、カーナビーツ、ゴールデンカップス・・・。小学5年生のぼくの目に、彼らはまぶしく映っていた。 一番心を奪われたのは、ジュリーやピーのいたタイガースで、フ…
会社の帰りにスーパーに寄ったら、見ず知らずの人から、 「納豆はどこですか?」と聞かれた。 「店の人間ではないですよ」と言うと、 「あっすいません」と言って、その人は向こうに行った。 こういうことはよくあることで、電気屋でラジカセの説明を求めら…
しかしそのことで、ぼくは沖縄を嫌いにはならなかった。あの晩のことを除いては、いい思い出ばかりだったからだ。最初に言ったとおり、風土も匂いもぼくに合っている。 「今度来る時は、民謡酒場のある場所をちゃんとチェックしておこう。そこ以外には絶対行…