2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
2020年10月2日 入院日記(6) 入院というのは集団生活だ。生まれてからずっと少ない家族で暮らしてきたぼくにとって、集団生活で一番困るのがトイレである。小ではない。大の方だ。 トイレの数が少ない所だと、人と被った時に困る。 先に入っていて、ドアノ…
(1) 前世の夢を見ることがある。 その夢を見る時は、雰囲気がかび臭く、背景も前時代的であり、さらに懐かしく感じる。 前世のぼくは兵隊で、野戦病院で生涯を終えたようだ。 赤十字のマークや、昔の映画に出てくる看護婦を見ると、意味もなく恐ろしくな…
2020年10月1日 入院日記(5) ああ、もう10月じゃないか。中秋に入ったのか。 入院していると、季節がわからなくなる。まあ、そう日にちは経ってないのだから、入院した日とあまり変わりはないと思うのだが、それでも少しは涼しくなってきているのではな…
2020年9月29日入院日記(3) 病室は東向きで、ベッドは窓ぎわにあり、朝になるとぼくの顔をめがけて日が差し込んでくる。普段西向きの部屋で生活しているぼくには、それがきつい。 しかし、悪くない一面もある。東向きの窓ぎわなので、ちょうどその方向にあ…
車を運転していると、たまに不可解なことに遭遇する。まあ、不可解と言っても、大したことはないのだが。 いつだったか、バイパスを走っている時に、前を走っていた車が、急に何かをよけるようにハンドルを切った。自転車かバイクが走っているのかと思い、こ…
入院してどんな治療を受けているのかというと、点滴だけだ。後日リハビリをやるらしいが、手術をするわけでもないし、やることはそれくらいしかないんだろうな。 まあ、とにかく暇で暇で。こういう所でテレビは見たくないし、ヘッドホンを忘れたのでスマホに…
「おかしいな」 と思ったのは、2020年9月25日の朝方だった。目が覚めてパソコンの前に座り、マウスを握ったのだか、何となくいつもと感覚が違う。カーソルの位置が定まらないのだ。 「寝ぼけているのかな」 と思い、席を立ち顔を洗いに行った。洗面所…
【いくつですか?】 「しんたさん、いくつなんですか?」 そういうことを聞かれた時、むかしは「チャゲアスや大竹しのぶと同い年」と言っていた。 最近はもっぱら「岸田さんと同い年」と言っている。あまり良い印象はないようだ。 【年齢を気にしない】 今ま…
この間、買い物に行った時の話だ。あるものを買おうと思って財布の中を覗いてみた。 が、少し足りない。そこで、その店の外に設置してあるATMにお金を出しに行った。 そこに行ってみると、おっさんがお金をおろしていた。まあ、おっさん一人だけだったので、…
久しぶりに新聞でほほえましい記事を見た。地元で起こった珍事だ。てっきりローカルニュースだと思っていたら、毎日新聞の関西版あたりにも載っていたというから、おそらく全国版にも載っていたのかもしれない。 いちおうこの珍事を紹介しておくと── 昨日、…
1, 最近ギターを弾いてない。前はカチカチだった左手の指先が、今はふにゃふにゃになっている。指使いなどは体が覚えているだろうが、もはやそれに耐えられるだけの肉体ではなくなっているということか。まあ、10分も弾いたら、もう押さえることは出来な…
昨日の朝8時頃だったか。トイレに入っているときに停電した。夜中から風が強かったので、きっとその影響だと思うが、そのせいで困ったことになった。 実はその時、ぼくはトイレの中で座っていたのだ。何が困ったのかというと、うちはウォシュレットを使って…
かつてこの地では起業祭という八幡製鉄所の起業を記念した祭りが、創業日である11月18日を中心とした三日間行われていた。その間は製鉄所内の工場見学が出来たり、大物歌手が来たり、サーカスがあったり、かなり広範囲に出店が出たりと、規模の大きな祭りだ…
朝目覚めるとぼくはこの機械に キーを入れてエンジンをかける。 機械はしばらく停滞してから 「よっこらしょ、よっこらしょ」 ゆっくりゆっくり動き出す。 この機械は1957年製だから 66年間使用していることになる。 たまに故障はあったものの 性能がよ…
「大丈夫」と書いたカードを、部屋のあちらこちらに貼っている。 気落ちした時に見るためだ。 そういうつもりで貼ったのだが、気落ちする前に、不思議とこのカードが目に入る。 おかげで気落ちする暇がない。 ところで、これは偶然なのだろうか、それとも何…
20代の頃、就職難でなかなか職が決まらず、足繁く職安に通っていた時期がある。 その頃のこと、二度ほどスカウトマンに声をかけられたことがある。 最初の人は笑顔で「いい仕事見つかりましたか?」などと言って近づいてきた。ぼくは無愛想に「いいえ」と…
十数年前、近所にある神社の社務所兼神主の自宅が火事に遭ったことがある。当時のぼくは職を失っており、毎日職探しをしていたのだが、その帰りにいつも神社に行き、再就職のお願いをしていた。幸い焼けたのは社務所の方で、本殿の方は無事だった。 その数日…
『明日はきっと』 何もいいことがないから こうしてトランプ切るのです ほら明日は素晴らしいと出た 願い事も叶うと出た 逢いたくても逢えないから こうしてトランプ切るのです ほら明日は素晴らしいと出た 明日はきっと逢えると出た 嘘でもいいんです 一時…
以前ラジオで 「砂浜にお金がたくさん落ちている夢とか、龍が昇る夢を見た時、家を建てたりいろいろいいことが重なった。逆に落ちる夢などを見た時には離婚したりしてあまりいいことがなかった」と言っていたのを聴いたことがある。ぼくはそんなに人生を暗示…
1, 最近一つ年を取りました。66歳になりました。別に何の感慨もないですね。周りの誰にも誕生日を教えてないし、夫婦でお互いの誕生日を祝うこともやってないですしね。 むかしは、誕生日には何かいいことがあるような気がしていたのですが、いつも何も…
そんなある日のこと、大きな固まりが顔を見せた。それを見てぼくは、「これが親だ」と思った。 「こいつを退治すれば、他の虫も自ずといなくなるだろう」 そこでぼくは、爪を立てて、その親を無理矢理絞り出した。すごく大きく、長い虫(脂肪)だった。 そん…
秋の夜長、遅くまで起きていた。 せっかく夜更かししたんだから、いっちょう金縛りにでもあってやれと思いながら、布団に入る。 目を瞑って、ゆっくりと深呼吸をして、ラジオを消して…。 だけど、金縛りになんか、そうそうあうものではない。 思考が邪魔する…
たとえば本を読んでいる時に、その中に書いてあるたったひとつの言葉で、その本の内容がすべて見えてしまうことがある。以降ぼくはその本を読むことをしなくなる。あとは手を替え品を替え、そのことの説明に始終しているだけだから、もうページを開く必要が…
スマホで調べものをしている時に 同世代と思しき方が近づいてきて、 「見えるんですか」と言うのです。 『おかしな人だ』と思っていると、 同世代のぼくがメガネもかけずに スマホの細文字を見ていることが 羨ましく思えて声をかけたんだと。 六十を超えた今…
もうひと月半寝るとクリスマスになり、すぐに正月がやってくる。そのことを考えると憂鬱になる。 実は、ぼくの働いている職場は、年末年始というのは「忙しい」「休めない」「報われない」、という疲れの三拍子が揃ってやってくる時期なのだ。 学生の頃まで…
部活を引退したぼくたちを待っていたのは、 慣れない夕方ラッシュだった。 それまでわりと遅く家に帰っていたので、 いつもバスはガラガラだった。 短い乗車時間だったけど、 だだっ広い空間の中でぼくたちは 疲れた体を横たえて寝ていた。 それがあまりに心…
退院してから三年経った。その間ずっと、どうして病気に至ったのかを考えていた。生活習慣の末に入院するはめになったということだが、ではどんな生活習慣が良くなかったのか。 ぼくは病気にかかる前、ある人に、 「ぼくの体は、コーヒーとレーズンパンと芋…
【朝の出来事】 今日も黒いズボンをはき 黒いスニーカーをはいて 2キロ程の道のりを歩き 20分程で会社に着いた それから1時間程たって 用を足しにトイレに行く あっようやく気がついた ファスナーが開いていた 誰にも気づかれなかった ─────んだろうか?…
学生時代に、詩の勉強の意味で、よくビートルズやボブ・ディランの訳詞をやっていたものだ。 ビートルズのほうは訳詩集なんかが出ていたおかげで、訳の参考にすることができたが、ディランのほうは訳詩集もなく、頼りになるのがレコードの歌詞集だけだった。…
朝起きると、いつもぼくは本能に今日という日を聞いている。 「今日はいい日ですか?悪い日ですか?」 だいたい本能はわかっていて、いろいろアドバイスをしてくれる。 「今日はいい日だから飛ばしていけ」 「今日はあまり無理をしないほうがいい」 そのアド…