2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧
学生の頃、 詩の授業のたびに 「この言葉は何を意味するか」 「作者は何を言おうとしているのか」 などといった謎解きをさせられていた。 本人じゃないんだから、 そんなことはわかりもしない。 わかりもしないことを、 本人じゃない人から採点されるんだか…
もう一ヶ月寝ると もうクリスマスは終わっている。 仕事納めも終わっている。 テレビは今年の重大ニュースを流している。 ラジオは今年のベストテンを流している。 大人たちは正月の準備にいそしんでいる。 子どもたちは冬休みを楽しんでいる。 学生たちはア…
意識と無意識との間に 一種怯えの固まりがあって コロコロ、コロコロ 転がってくるんだ。 それが疲れを運んでくる。 それがイライラを運んでくる。 それが夢を拒んでいる。 その部分に熱を加えて 溶かしてみたら そういうものすべてから 逃れられそうな気が…
作曲を始めて一年過ぎた頃だった。 初めて納得のいくオリジナル曲を作った。 三拍子と四拍子の違いはあるとはいえ、 その曲がビートルズの『You Won't See Me』に よく似ていたのだ。 作った時にはそういうことはわからなかった。 なぜならその頃はまだ、 ラ…
北風の吹くバス停で、 ぼくはジッとバスを待っていた。 学生ズボンの生地は薄かったが、 ズボン下なんて爺臭いと言って 防寒もせず、 常にその下はパンツ一枚だった。 風はそれを知っているのか、 脚をめがけて吹いてくる。 おかげでぼくの脚には いつも鳥肌…
何度かの思わせぶりに騙されて ぼくは君が好きだと告げた。 それから君は豹変し、 ぼくを見ると逃げるようになった。 いちおう失恋覚悟の告白だったが、 その仕打ちはかなりこたえたものだ。 いく年月が過ぎて ぼくは「縁」という言葉を知る。 それでようや…
孤独を装うことは出来ても 孤独でいることは出来ない。 いくら孤独でいると思っていても 君の息づかいは世界中の人たちに ちゃんと聞こえているんだ。 「こんな世の中大嫌いだ」 なんて叫ぶ君がいる。 「別に生まれたかったわけじゃない」 なんてほざく君が…
昔はよく車で遠出をしていた。 日帰り宮崎だとか、 日帰り鹿児島だとか、 北九州からだと日帰りがきつそうな場所にも けっこう足を伸ばしていた。 中でも好きだったのが阿蘇へのドライブで、 雄大な風景を目にすると、 心が洗われる思いがしたものだ。 黒川…
東北を旅した時のこと、 県境にある温泉宿で、 ある看板を見つけた。 そこには赤い文字で 『熊に注意』と生々しく書かれていた。 その看板を見たとたん、 ぼくはなぜか身を伏せた。 すぐそこに熊がいるように思えたからだ。 それ以来だ、 山歩きとか森林散策…
生活の蓄積が人生なわけだから 今日のちょっとした出来事も ぼくの人生だと言える。 時には、そのちょっとした出来事が 人生の方向を大きく変えることだってある。 だからちょっとした出来事といっても 決して疎かには出来ないものだ。 ただ、それにこだわる…
君のそういう芝居がかった演技に 騙される男は 十人に一人いるかどうかだ。 十人全部を騙そうと思ったら そんな演技を磨くよりも 自分を磨いたほうが手っ取り早い。 それをしないから いつまでも「ガール」なんて 君は呼ばれているんだ。 そんなふうに呼ばれ…
学生の頃、何度も遅刻していたから、 人のことをとやかくは言えないが、 会社勤めをしていた頃の 部下の遅刻には往生しましたわい。 別に悪意を持って遅刻しているのではない。 ちょっと変わった女子ではあるが、 遅刻が悪いことはわかっているし、 根が素直…
かつてこの地では起業祭という、 八幡製鉄所の起業を記念した祭りが、 創業日である11月18日を中心とした 三日間行われていた。 その間は製鉄所内の工場見学が出来たり、 大物歌手が来たり、 サーカスがあったり、 かなり広範囲に出店が出たりと、 規模の大…
ひからびた小便がポロポロと 便器の中に吸い込まれていく。 やけに濃い。 医者が判断すると病気なのだろうが、 経験上、これは疲れだ。 おそらくは例の痛み疲れなのだろう。 とりあえずはあれから何も起きてない。 もちろん痛みも襲ってこない。 最初に行っ…
部活を引退したぼくたちを待っていたのは、 慣れない夕方ラッシュだった。 それまでわりと遅く家に帰っていたので、 いつもバスはガラガラだった。 短い乗車時間だったけど、 だだっ広い空間の中でぼくたちは 疲れた体を横たえて寝ていた。 それがあまりに心…
台風でも来たんじゃないかと思ったほど 強い風が吹いた日、 突然それはやってきた。 歯痛だ。 前々から痛かったが、 それは刺激を与えると痛むような状態だった。 ところがその日の痛みは違った。 刺激を与えなくても痛い。 それも今までに味わったことのな…
ぼくは今、 歯痛のために、 のたうち回っております。
1, タコさんは青いジャンパーを着て、 いつもお腹を触っている。 ぼくを見つけると近寄ってきて、 「あたし痩せましたか?」と聞く。 「全然痩せてない」と答えると、 「もういいです」と言って去っていく。 何がもういいのかわからない。 タコさんは青い…
相変わらず歯が痛い。 そのせいで、 考えることの半分が、 歯痛に費やされている。 しかし、そのおかげで いいことだってあるのだ。 毎日毎日ウマの合わない人に 会わなくてはならないのだが、 歯痛のおかげで、 少なくとも通常の半分くらいしか、 「合わな…
昨日、早々と来年の年賀状が届いた。 お年玉付きの年賀ハガキで、だ。 えらく早い年賀状だなと裏面を見ていると、 これが不可解な内容のものだった。 二色刷で印刷した文章で、 タイトルは何と 「訴訟事前通知書」だ。 あるNPO法人から届いたものだが、 ……
居眠りしながらパズルをしてると 指と指の間から ボールペンがポトリと落ちる。 ポトリ、ポトリと床に落ちる。 ポトリ、ポトリと足にも落ちる。 一回、二回、いや何回も…。 もういいや、 やめてしまおう。 これ以上粘っても もう思考は働かない。 だから答も…
一昨日、書くことがないなんて 書いてしまったもんだから、 本当に書くことがなくなってしまった。 そうだった、 心に描いたことが現実になるように、 紙などに書いたことも現実になるんだった。 半纏を羽織っているなんて書くから 今夜のようなに暑い夜にも…
昨日は特に変わったことはなかった。 就寝時にちょっと 歯茎にだるさを感じただけだ。 もちろん気にせずに目を閉じた。 異変が起きたのは朝食時だ。 トーストを噛んだとたん 歯に痛みが走った。 ピリピリとした虫歯の 鋭い痛みではなくて、 ドクドクと鈍い痛…
「毎日毎日よく書くことがありますね」 なんて言われることがある。 いや、書くことがあるから 書いているのではなく、 書くことがない嘆きを 書いているだけなんです。 つまりこういうことなんです。 「ああ、今日も書くことがないな」 って思うことを、 「…
頭が空っぽの時に、 無理に何か考えようとするのは よくないことだ。 無理に何か考えようとすると ついついロクでもない方向に 思考が向かっていくものだ。 そうなると現実が面白くなくなって、 五感に触れるものすべてが嫌になって、 当然人とのふれあいも…
二、三日前から半纏を羽織っている。 そう、寒いんですよ。 それまでの気温がずっと二十度超えだったから、 ここ数日の寒さはかなり身に応える。 そのため昨夜はストーブに火を入れようと 灯油を入れて準備をしていた。 しかし結局は火を入れることをしなか…
たとえば本を読んでいる時、 その中に書いてあるたったひとつの言葉で その本の内容がすべて見えてしまうことがある。 以降ぼくはその本を読むことをしなくなる。 あとは手を替え品を替え、 そのことの説明に始終しているだけだから、 もうページを開く必要…
ふとしたきっかけで 生い立ちを語るようになり、 ふとしたきっかけで 夢を語るようになる。 ふとしたきっかけで 悩みを打ち明けるようになり、 ふとしたきっかけで 喜びを分かち合うようになる。 ふとしたきっかけで 好みの女なんかを語りあい、 ふとしたき…
二十歳を過ぎた頃、 よくブルースを聴いていた。 誰の曲というのではなく、 手に入る音源すべてに耳を傾けた。 レコードのあのプチプチという ノイズの合間から漏れてくる 音の流れが心地よく、 心をそこに遊ばせていれば 幸せな気持ちになったもんだ。 他の…