2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
昨日と同じ頃の話。いつものようにぼくは自転車に乗り、その道を通って家に帰っていた。昨日の場所から二百メートルほど行った県道沿いの歩道に、えらく雑草が生茂っている場所があるのだが、ちょうどそこを通っている時だった。 草むらの奥から、何か気配が…
小倉で勤めている頃、通勤にJRを利用していたのだが、家から最寄り駅である黒崎駅までは自転車で通っていた。 ある日の帰り、ある場所にさしかかった時だった。突然頭痛に襲われたのだ。 「何でこんなところで痛くなるんかな」 と思いながらも自転車を漕い…
ぼくが今いる業界に足を突っ込んだ二十代前半、同じくこの業界でアルバイトをしている高校の同級生がいた。彼はぼくが勤めている職場から1キロ程離れた競合店で働いていた。 初めてその店に市場調査に行った時に、ぼくは彼を見つけ、 「あ、○○やん。久しぶ…
出会った頃から感じていたことだけど、 ぼくたちは恋愛とか友情とかではなく、 もっと心の深いところで繋がっている、 そういう気がしてならなかったのです。 あなたがあの人と付き合っていた時も、 あなたが結婚したのを伝え聞いた時も、 それゆえに容認で…
【9】 昨日話したとおり、新しい団地に引っ越したばかりの頃は頻繁に金縛りに遭っていた。遭う前には決まって「パシッ」というラップ音が聞こえた。『あっ、来た』と思っていると、体が動かなくなるのだ。こういう状況が週2度ほどやってきた。 しかし、体…
【5】 昭和58年春。二階長屋を多層階の団地にするというので、一時的に引っ越すことになった。階段の謎を解き明かそうと思い、取り壊している家を何度か訪れた。しかし、気配の正体は姿を現わさなかった。 【6】 昭和59年春。建て替えが終り、新しい団…
【2】 昭和47年秋、その気配の正体ではないかと思われるものに遭遇した。 中学生の頃だったな。 居間で昼寝をしていた時に 玄関の扉をトントンと叩く音がした。 誰だろうと思いながら 目を覚ましてみると、そこに ぼくの顔を覗き込んでいる人がいた。 胸…
【1】 階段の怪人が ジイっとこちらを伺っている 来る日も来る日も 飽きもせずに ジイっとこちらを伺っている たまに足を踏み外すのか ときおり ギイっという音がする 昭和34年に引っ越して以来、ずっとこの地区に住んでいる。最初に住んだ家は、県営の二…
いまだ見逃したままになっているドラマ。TBS『グッドバイ・ママ(坂口良子主演)』『時間ですよ昭和元年』『さくらの唄(樹木希林と桃井かおりが姉妹役で共演)』『あこがれ共同(体郷ひろみ主演)』。日テレ『雑居時代(石立鉄男と大原麗子)』『水もれ…
テレビドラマの話だが、今年の4月期は、多くの新ドラマが新型コロナの影響で、いつ始まるのかわからなくなった。そのため、見る気が失せてしまった。その流れで来たために、夏ドラマもまったくと言っていいほど見ていない。 代わりに見始めたのが、録りだめ…
無地のノートの上に 言葉ひとつひとつを 貼り付けていったら そこに怒りが込上げ そこに憎しみが漂い そして悲しみに陥り 人生が疲れてしまう 無地のノートの上に 言葉ひとつひとつを 貼り付けずにいけば 何も始まらないから 疲れることもなくて 気が楽にな…
1、 職場の休憩室で水分を補給していた時だった。遠くから、えらく髭モジャの男がやってくるのが見えた。誰だろうと思って見ていると、何と同じ部署の男だった。 「何、その髭。モジャモジャやん」 「カッコいいでしょう。マスクするのは嫌だけど、髭を隠せ…
昨日、同じ職場(ぼくと所属会社は違う)で働くE子という女子が、 「しんたさん、タンクトップを着た女性を見てどう思いますか?」と聞いてきた。 「別に何とも思わんよ」 「普通そうですよね」 「そうじゃない人がおると?」 「N男。あいつ、タンクトップ…
そうだった。黒崎井筒屋は今日で閉店だったんだ。夜、嫁さんを迎えに行く時、必ずついていた『井筒屋』のネオン(?)が消えていたので、「おかしいな」と思い、帰ってからネットで調べたら、今日閉店となっていた。 2000年に入ってから、黒崎の大型量販…
中学校に通っている頃、学校横の山の中に、勝ち組のじいさんが住んでいるという噂が流れた。そのじいさんは「太平洋戦争で日本は降服したことになっているが、実は降服したことにして相手を油断させ、反撃を仕掛けるのだ」と主張しているということだった。…
昨日、喫茶店『黄昏』のある場所には何かがあると書いたが、確かに何かがあった。それはロマンや人生の侘び寂びではなく、もっとドロドロとしたものだった。 小倉駅前には、『黄昏』他いくつかの喫茶店があった。後年それらの喫茶店をマルチ商法や電話勧誘、…
ほんのひとときの黄昏が今日のため息をつく 病みつかれたカラスたちが今日も帰っていく 昔描いた空は消えはてて さて帰る場所はあったんだろうか 琥珀色の時の中で街の灯は浮ぶ ぼくは昭和52年の秋に、地元小倉でアルバイトをしていた。帰るのはだいたい午…
海の家も、プールも、夏祭りも、花火大会も、 盆踊りも、人通りも、暑気払いも、 甲子園も、夏フェスも、夏休みもない夏。 ただセミだけが鳴いている。
椅子から立ち上がった時に腰が痛いのは、加齢のせいだ。 立ったままでいると足の裏が痛くなるのは、加齢のせいだ。 運転中に焦点が定まらなくなるのは、加齢のせいだ。 横向きで寝ていると小便が近くなるのは、加齢のせいだ。 うつ伏せで寝ているとまぶたが…
一日早かったが、昨日お盆の墓参りに行った。前回行ったのが春の彼岸だったから、およそ五カ月ぶりのお参りだ。あの時はコロナ騒動で気にしてなかったが、今年の春のお彼岸は少し暑かったような憶えがある。が、さすがに昨日ほどではなかった。 台風の影響で…
ちょうど一週間前、嫁さんを職場まで送っている時の話だ。信号待ちの時にあることを思い出して、ぼくは嫁さんにETCカードを手渡した。 「これ差しといて」 「えっ、都市高速使うと?」 「いや、使わん。このETCカード、しばらく使ってないけ、ちゃんと…
昨年からパソコンの調子が悪かった。いちいち動作が遅い。特にいつも使っているiTunesやgoogleChromeにいたっては、起ち上がりに10分近く要していた。そこで何度かリカバリをした。リカバリした端はそこそこいいものの、2、3日もするとまた遅くなってい…
1,旧八幡市内にある駅 旧八幡市内にあるいくつかのJR駅周辺のことを書いたのだが、これを読んだ人から、 「旧八幡市内の駅なら、あと四つあるやん。そこは書かんと?」と言われた。 確かに旧市内にあるJR駅は現在七つだ。しかし残念ながら、平成になっ…
数日前の話。午後8時過ぎだったか、車の中に忘れ物をして、駐車場までそれを取りに行った。 マンションの1階に着き、エレベーターから降りたちょうどその時だった。エレベーター前のさほど広くない通路を、数人の若い家族連れが通路いっぱいに広がり、こち…
旧八幡市内には、特急の停まる駅が二つある。一つが前に書いた黒崎駅で、もう一つがその二つ隣にある折尾駅だ。今のところはどちらも同じ区の中にある。 この折尾という街、ぼくは思い入れが強い。なぜならぼくは、この折尾の駅近くで生まれているからだ。も…
公園のセミが大合唱している。 今この時とばかり鳴いている。 その必死さが暑さを予感させ、 予感に心と身体が反応をして、 「暑い、暑い」を引き寄せる。 ならば耳を塞いでこの合唱を、 聞かなければいいだけの話で、 ついでに「暑い」と口にせず、 好きな…
先日、例えば『コンセント』程度の簡単な言葉が出てこない人が、その『コンセント』というのを伝えようと自分の知っている言葉を並べて「・・というのがあるやろ?それがうまくいかなくてねえ」と言ってきた。その人は説明も下手で、いったい何が、どううま…
最近ちょくちょくテレビで、『岩合光昭の世界ネコ歩き』を見ているのだが、ここに登場するネコの多くがデブだ。とにかく下半身がブヨブヨしているのだ。たまにノラなんかも出ているようだが、デブネコのそのブヨブヨ腹の印象が強すぎて、なかなか記憶に残ら…
1,1972年夏 1972年夏、ぼくは翌年に高校受験を控えた中学生だった。中学に入って思春期を迎え、自分の変化に戸惑いながら二年間を生きてきた。それまではその戸惑いが影響していたのか、おかしな行動ばかり取っていたが、中三で何とか落ち着くこと…
JR黒崎駅周辺。この街は40年ほど前にはえらく栄えていて、決して広くない駅前の土地に百貨店が2店舗、大型量販店4店舗、加えて大小4つのアーケード街があり、映画館は7館ほど存在していた。また国鉄、私鉄、路面電車、バスがこの街で合流するため、…