1,狐のしわざ
最近、日本の古典を読んでいるのだが、昔の日本人は何か恐ろしいことや不可解なことが起こると、「あれは狐がやってるんだから、大したことはない」と自分に言い聞かせて、心を乱さないようにしていたらしい。
きっと昔の日本人は、「狐のしわざ」を日常的なこととして捉えていたのだろう。だから「狐のしわざ」を怖がらなかったのだ。
一方現代の日本人は、「狐のしわざ」をタブー視している。なぜなら科学で解明されてないからだ。だから「これは狐のしわざだ」と言われると、心を乱すに違いない。
2,秋の虫
秋の虫が鳴いている。と言っても、虫は秋に入ってから急に鳴き始めるわけではない。実は夏から鳴いているのだ。それに気づかないのは、心の中が暑さでいっぱいになっているからだ。
秋に入ると暑さを厭う心が去って、空っぽになった心の中に虫の音が染みてくる。今はそんな季節だ。
3,夜の秋
例年はお盆を過ぎた頃から、秋を感じることが多いのだが、今年はお盆過ぎどころか、9月に入ってからもそういう気配が感じられなかった。
ようやく「秋が来てるな」と感じたのは、先日の台風が過ぎた後だ。エアコンを入れなくても夜を過ごせたのだ。
昔は、タオルケットから夏布団に変えることで夜の秋を感じたのだが、今はエアコンの入り切りか。時代ですね。
4,ヒグラシの声
先日、この辺りでは滅多に聞くことの出来ないヒグラシの声が、なぜか前の公園でしていた。誰かが山で捕まえてきて、公園に放ったのだろうか。それとも誰かが公園にラジカセを持ち込んで、ヒグラシの声を大音量で鳴らしていたのだろうか。いや、もしかしたらこれは「狐のしわざ」なのかもしれない。
ところで、「カナ、カナ、カナ」と鳴くと言われるヒグラシの鳴き声、ぼくの耳ではどう工夫しても「ヒ、ヒ、ヒ」としか聞こえないのだ。ぼくの耳がおかしいのだろうか、それとも「カナ、カナ」と聞くコツでもあるのだろうか。