昨日、同じ職場(ぼくと所属会社は違う)で働くE子という女子が、
「しんたさん、タンクトップを着た女性を見てどう思いますか?」と聞いてきた。
「別に何とも思わんよ」
「普通そうですよね」
「そうじゃない人がおると?」
「N男。あいつ、タンクトップを着た女性を見ると、かぶりつきたくなるらしいですよ」
N男とは、E子と同じ会社の二十代半ば男子で、独身である。少し変わったチャラ男で、職場内ではぼく以外のすべての人から呼び捨てにされている。
二人でそういう会話をしている時、そのN男がやってきた。ぼくが、
「N男君、あんたタンクトップフェチなん?」と聞くと、
「フェチじゃないけど、一日三回くらい妄想します」と、訳のわからないことをおっしゃる。
「それをフェチと言うんよ。で、ノーブラじゃないとダメとか?」
「それは関係ないです。ただミニスカだったらいいかなと」
「タンクトップ姿ならおばちゃんでもいいと?」
「はい、四十代までなら」
「じゃあ、E子ちゃんは気をつけんとね。まだ三十代だし」
「私、タンクトップ着ないから大丈夫ですよ」
ちょうどそこに、ぼくが『ナゾナゾ君』とあだ名している、ちょっと不思議な男性が通りかかった。そこで、ぼくはE子に、
「ナゾナゾ君に、タンクトップ女性をどう思うか聞いてみ」と言うと、E子はさっそくナゾナゾ君のところに行き、その質問をした。ナゾナゾ君は、
「タンクトップですか。日焼けしたら大変ですよ」と言ったらしい。ナゾナゾ君は質問をちょっと違う方向で捉えてしまったようだ。ちなみにナゾナゾ君は、四十代半ばの独身男子である。
「ねえN男君。もし男がタンクトップ着とっても、かぶりつきたくなると?」
「そんなことはないです」
「でも、プヨプヨしとったらいいやろ?例えばK君みたいな」(※K君とはN男の同僚。デブでやたら腹が出ている)
「嫌ですよぉ」
「いいやん。あの肉付きは女性的だし」
「フフ」
N男はまんざらでもない顔をしていた。