ちょうど一週間前、嫁さんを職場まで送っている時の話だ。信号待ちの時にあることを思い出して、ぼくは嫁さんにETCカードを手渡した。
「これ差しといて」
「えっ、都市高速使うと?」
「いや、使わん。このETCカード、しばらく使ってないけ、ちゃんと生きとるかどうか確かめようと思って」
嫁さんがETCカードを差し込むと、車載器は「ETCカードが挿入されました」と答えた。
「ちゃんと反応したね」
「うん、あとは実際に使えるかどうかやけど。まあ、それは後々わかるやろう」
そう言いながら、信号からバイパスに入った。
すでに渋滞の時間帯は過ぎていて、車は順調に走った。ところがバイパスの出口に近づくにつれだんだん渋滞しだし、出口の手前1km付近で完全にストップしている。『このままじゃ間に合わん』と思ったぼくは、急きょ車線を変更し、都市高速方面に向かい、料金所まで来た。久しぶりのETCカードなので使えるかどうか心配だったが、ゲートは無事に開き通過することが出来た。
高速に入ってから嫁さんが、
「渋滞のこと知ってたの?」と聞いた。
「いや、知らんかったよ」
「じゃあ、渋滞の予感がしたの?」
「いや、全然。何で?」
「さっき『ETCカード差して』と言ったから、渋滞しているのがわかってたんかなと思って」
「わかっていたわけじゃないけど」
「やっぱりわかってったの?」
「実は出かける前、トイレに神様が現れてね」
「えっ?」
「何だろうと思っていると、神様が『おまえ、古いETCカードを持っているだろう?』と聞く。『はい』と答えると、『では、それをテストしてあげよう』と言う。それで古いカードを用意してきたんよ。どんなふうにテストするんかなと思っていたらあの渋滞だ。それで嫌でもETCカードのテストをせざるをえなくなったわけだ」
「はあ?」
関連記事