数日前の話。午後8時過ぎだったか、車の中に忘れ物をして、駐車場までそれを取りに行った。
マンションの1階に着き、エレベーターから降りたちょうどその時だった。エレベーター前のさほど広くない通路を、数人の若い家族連れが通路いっぱいに広がり、こちらに向かって歩いてきたのだ。皆おしゃべりに夢中で、こちらにはまったく気づいてない。
その家族とぶつかってしまうと思ったぼくは、その場で立ち止まり、存在を知らせようとその家族に向かって「こんばんは」と声をかけた。後ろにいたその家族の父親らしき男性がぼくに気づいたようで、先を歩いていたその妻らしき女性に「危ないよ」と言って注意した。
女性は横にいる人とおしゃべりに夢中になっていたのだが、男性の声が聞こえたのか正面を向いた。目の前にはぼくが立っていた。突然彼女は「ギャーーーッ」と大声で叫び、ちょっと間をおいて「ああ、びっりしたー」と言った。
びっくりしたのはこちらである。いくら驚いたとしても、夜、公共の場で大声を張り上げるのは、社会人としていかがなものか。しかもうちのエレベーター前は、天井があまり高くないので声がよく響く。そういう場所での大声は確実に迷惑行為だ。
さてその大声の後、女性の口からは「すいません」の言葉は出てこなかった。一部始終を見ていた男性も何も言わなかった。彼らにすれば、悪いのはそこに立っていたぼくの方だったのだろう。