子どもの頃から、のほほんと育ってきたせいで、ぼくは切羽詰まらない性格になっている。一つのことをやろうとした時に何か真剣みが足りないのだ。そして押しが弱いのだ。
例えば若い頃、あるオリジナル曲のコンテストに自信作を応募したことがあるのだが、応募用紙の質問欄に「どういう思いで作った曲ですか？」と書いてあった。切羽詰まらない性格のぼくは、「ただ何となく」と書いたのだった。
こういう箇所には普通、曲に対する熱い思いを書くものだ。さらに切羽詰まった性格の人なら、曲に対する思いだけではなく、自分の将来への思いも書くことだろう。そして、そういう人の曲だけが審査員の心に届くものだ。
当時のぼくもそのくらいは知っていた。知ってはいたが、そこに切羽詰まらない性格が影響して、結果押しが弱くなってしまったわけだ。もちろん予選での失格だった。
仕事上でもそうだった。おそらく上司には、ぼくの真剣さが伝わらないのだろう。
「何ボサーッとしとるか！」
「もっと真剣にやれ」
「面白半分に仕事をするな」
「会社は遊ぶ所ではないぞ」
「やる気がないなら帰ってしまえ」
何度こんなことを言われたことか。だけどぼくは切羽詰まらない性格から、ただヘラヘラ笑っていただけだった。
