吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

王冠

 小学生の頃、夏休みになると、決まってジュースやビールの王冠を集めていたものだった。家で飲むものはもちろん、友だちからもらったもの、駄菓子屋に落ちていたもの、道ばたで拾ったもの…。

 中でも酒屋の空き瓶置き場は王冠の宝庫で、数々の珍しい王冠を手に入れることが出来た。県外の特産ジュースの王冠、なぜかジュース瓶に入ったコーヒー牛乳の王冠、家ではお目にかからない酒類の王冠。当時は珍しかったオリオンビールや、海外のビールの王冠もそこで手に入れたのだった。



 とはいえ、ぼくが一番好きだったのは、そういう珍しいものではなく、三ツ矢サイダーの青の王冠だった。当時の三ツ矢サイダーには、赤の王冠と青の王冠があったのだが、なぜか赤の王冠に安っぽさを感じ、青の王冠に高級感や威厳を感じたものだった。

 元々黄色や赤系の色が好きだったぼくは、ある日突然青系の色を好むようになったのだが、サイダーの王冠はきっとその要因の一つになっているはずだ。



 さて、そういやって集めた王冠も、夏休みが終わると興味がなくなり、いつも捨てていた。いや、捨てられていたのだろうか。もしその時捨ててなかったとしたら、缶全盛の現在だから、けっこう価値が出たに違いない。