東京に出てから数年が経った
彼女のことを忘れようとして
出た東京だったが、結局の所
忘れることなど出来なかった。
とはいえ吹く風の効果もあり
それまではあまりの苦しさに
病気じゃないかとまで思った
気持ちを客観視出来るように
なったのは大きく、それから
後の生き方や歌や詩の創作に
プラスに作用することになる。
というわけで、ぼくの中での
東京は役目を終えたのだった。
こちらに戻ってから三十数年
何度か彼女に会ってはいるが
やはり日記の効果なのだろう
ぼくは気持ちを乱すことなく
いつも冷静に接しているのだ。
しかし彼女といるとその場の
空気が変わるような気がする。
おそらくは彼女もそのことを
薄ら感じているにちがいない。
恋愛感情は消滅しているので
異性間の空気ではないはずだ。
異次元の空気とでもいうのか
現実を超えている空気なのだ。