朝が来ると東が攻めてくる。
毎日決って東が攻めてくる。
だからぼくはその攻撃から、
逃れようとして布団の底に、
身を縮めて潜り込んでいた。
ところが東は敵ではなくて、
実は心強い味方だったのだ。
それを知ってからのぼくは、
目がさめると布団の底から、
さっさと出るようになった。
晴れた日は日差しを浴びて、
味方の東に身を委ねている。
雨の日は東の匂いを体中に、
たっぷりと取り込んでいる。
心地よい一日のはじまりだ。
朝が来ると東がやってくる。
夕方襲う西よりも強い力で、
実は味方の東がやってくる。
心なしかいいことばかりが、
ぼくの日常をおおっている。