小学二年の頃だったろうか
突然外からカラコロカラコロ
カラコロコロンという
不思議な音が聞こえてきた。
その音を耳にしたとたん
ぼくの中に潜在する人が
何かいいことを期待したのか
ぼくを外へと連れ出した。
そしてその音を追いかけた。
姿はまったく見えないけれど
音は家の裏にある小さな山の
中腹あたりから聞えてくる。
カラコロコロンと聞えてくる。
それを追いかけぼくは走る
いつもはきつく感じる坂道も
なぜかまったく苦にならない。
ただいいことがありそうで
ただただぼくは追いかけた。
そしてその音に追いつき
そこで見たものは・・・・。
実はその後の記憶がない。
何かを見たはずなんだけど
何かを聞いたはずなんだけど。
そこだけの記憶が薄黒い何かに
覆われて見えなくなっている。
それを無理にはがそうとすると
なぜか息苦しくなってしまう。