この傘を奪われてはならない。
この傘にはぼくの過去と未来と
そして現在が詰まっているのだから。
このエスカレーターを降りたあと
やつらはこの傘を狙ってやってくる。
計画ではぼくを前と右と後ろから
攻撃することになっているらしい。
先程エスカレーターを降りたやつが
すでに出口の右側に回り込んでいる。
正面にはリーダー格の男が
朝からずっと張り込んでいる。
もう一人はぼくの背後にいる。
三人後ろにいる黒い喪服のあの女だ。
ぼくの行く道は当然左側しかない。
だけどそこには逃げるための道がない。
そこで出口の強行突破しかないと
ぼくは今覚悟を決めているところだ。
もうすぐ長いエスカレーターが終わる。
ヒタヒタと三つの足音が聞こえてきた。
やつらの顔も次第にはっきりしてきた。