2012-06-20 狭い狭い谷間の町 詩風録 煤けたような灰色の雲が まだらな雨を落としている。 この狭い狭い谷間の町に 艶抜けした黒い機関車が まるで白く見える煙を吐き 体を揺らせながら入ってくる。 行き交う人の姿は傘に隠れ 男女の見分けすらつかぬ。 その中を薄茶色の紬女が 傘もささずに歩いている。 わめきながら歩いている。 ぼわあ・・ぼわあ・・ぼわあ・・ ありし日の昭和の雄叫びが この狭い狭い谷間の町の かすれゆく記憶の中に 今もこだましている。