1,
もし人生を黄昏れたいのなら
その軌跡をたどってみたらいい。
だって夕日はゆらゆら揺れながら
その軌跡を照らしているじゃないか。
思い出を赤く赤く染めながら
ここまでを照らしているじゃないか。
だから人生を黄昏れたいのなら
ここまでの人生を照らしてみたらいい。
2,
かつて駅前にマルチ商法勧誘員の
巣窟になっている喫茶店があった。
最初は勧誘員と客と一対一なのだが
そのうち偶然を装った彼の仲間が
ゾロゾロと作り笑顔で集まってきて
その客を囲んでいく。結局客は
逃げられなくなり話に乗ってしまう。
会社帰りぼくはコーヒーを飲みながら
その光景を幾度となく目にしたものだ。
そういえば話に乗った客はみな
帰る時には作り笑顔になっていたな。
あれは強がりだったのだろうか。