吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

醤油色の家

街の外れに古ぼけた家がある。

その家は醤油色に染まり

醤油工場のような煙突があり

醤油のにおいで出来ている。



その家を指で押さえると

壁の所々から出来たての

醤油の絞り汁が湯気を吐きながら

出てくるような気がする。



風采の上がらぬおやじさんは

地元の町工場に勤めている。

数キロ離れた工場まで

醤油色の自転車で通っている。



認知症のじいちゃんは

何と思っているのか知らないが

醤油の入った一升瓶を

大事そうに抱えている。



それを見つけたおばちゃんは

ぶつぶつぶつぶつ言いながら

認知症のじいちゃんから

一升瓶を取り上げる。



兄ちゃんは早朝野球をやっている。

顔が小さく日焼けして

体型がどこか一升瓶に似ている。

そのせいなのかあだ名は『醤油』だ。



髪を染めた妹は夕方になると

醤油色のタイツをはいて

白のセダンで訪れるキザな

三白眼男と黄昏の中に消えていく。



飼い犬はいつも醤油味の餌を

食べているせいか醤油色だ。

野良猫は犬の隙を窺っては

その醤油味の餌を取り上げる。



街の外れに古ぼけた家がある。

その家は醤油色に染まり

醤油工場のような煙突があり

醤油のにおいで出来ている。