部屋の中にあるのは
20型位の旧式のテレビと
60センチ四方の
小さなコタツだけだ。
そのコタツの上には
折りたたみ式の将棋盤が
開いたまま置いてある。
誰かがさした後があって
あと十手もあれば詰み
という局面で終わっている。
持ち駒は銀と桂馬の二駒で
おそらく指した時のままの
状態なのだろう。
さていったい誰がここで
将棋を指していたのだろう。
その人たちが吸ったであろう
タバコの臭いがかすかに
残ってはいるのだが
ありふれた臭いなので
誰のものなのかが
特定出来ないでいる。