―そうそう、ここ妖精がいたよね。
―えっ、妖精って?
―ラジオ何かのACアダプターを
探していた時だったかな。
ぼくがここの押し入れを開けると
傘を差して遊んでいたあの妖精だよ。
―ハイハイあったねー。
―まったくこちらを気にするふうもなく
懸命に遊んでいたよね。
―そうだったね。
―あの頃って何となく幸せだったよね。
―うーん、そうだったかな。あの頃私は
この小料理屋を始めたばかりで
けっこう忙しかったような記憶がある。
娘二人も中学生で大変だったしね。
―それでも、その大変な頃を切り抜けて
今もこうやって店をやっていけてるのは
あの妖精のおかげじゃないのかな。
―そうかもしれないね。
―まだいるのかな。
―あれ以来見てないな。
―いい時代だったなぁ・・・。