1,
三日前からのどが痛い。
一昨日は赤くなっていた。
昨日は微熱が出た。
そして今日は声が出ない。
さて明日はどうなるのだろう。
いちおう風邪と決めつけて、
ぼくにはよく効くパブロンを買い、
のどのためにトローチを買った。
滋養強壮に養命酒を飲み、
あとは治ると信じて寝ることにする。
2,
ドラッグストアに行ってパブロンを買おうとすると、
そこの店員が「風邪ですか?」と聞く。
風邪引いたから買うのに、
変なことを聞く人だと思いながら
「そうです」と答えた。
「風邪ならもっといい薬がありますよ」
人には向き不向きがあって、
ぼくの場合生まれてこの方、
病院でもらう薬より効いたのが
パブロンなのだ。
ある時風邪を引いて病院に行った。
注射を打っても一時的なものだったし
もらった薬も効かないし、
どうしようかと思った時に、
実家でパブロンを見つけ、
それを飲んでみた。
ところが、それが効いたようで、
あれだけ苦しんだ風邪が、
翌日にはケロッと治っていた。
以来ぼくはパブロンを飲んでいる。
「いや、これでいいです」
「よく効くカプセルなんかもありますよ」
しつこい。
「ぼくにはこれが効くんです」
店員はちょっと不機嫌な顔をした。
「ポイントカードはお持ちですか?」
「いいえ」
「お作りしましょうか。今日は5倍ポイントですよ」
しつこい、しつこい、しつこい。
「いりません」
お釣りを受け取ると、
ぼくはさっさと外に出た。
まさかドラッグストアで
ハンバーガーショップ的な
やりとりをするとは思わなかった。
おそらくぼくは、
このドラッグストアには二度と行かないだろう。