風呂に浸かって数分が過ぎた。
冷え切った足がジンジンしている。
体が充分に温もってないのだろう。
さて、本を持って入ったものの、
なかなか読む気が起こらない。
こういう時は何も考えずに
くつろいでいるに限る。
そう思って目をつぶっていると、
なぜか脳裏に仕事のことが浮かんできた。
今日のあの場面とかこの場面が、
次々とよみがえってくる。
そのうち心だけが風呂から抜け出して、
昼間の職場へと飛んで行き、
「ああじゃない、こうじゃない」と、
昼間の続きをやりだした。
わりと長い時間やっていたが、
思うように仕事がはかどらない。
それに心を悩ませている時だった。
突然天井から水滴が落ちてきた。
と同時にぼくは風呂に戻ってきた。
「ああじゃない、こうじゃない」なんて、
ぼくはいったい何を悩んでいたのだろう。
すっかり内容を忘れてしまっている。
相変わらず足がジンジンしている。
まだまだ体は温もってないようだ。