嫁さんと恋愛関係にあった頃、
ぼくたちは何度か別れたことがある。
その別れ際のセリフは決まって、
「ふざけるな!!」だった。
二度とこんな奴と付き合うものか、
そんなことを思いながら、
ぼくは嫁さんとの距離を置いたのだった。
だけど、それで終わることはなかった。
何度別れても、ぼくたちは縒りを戻し、
最終的に結婚まで至ったのだった。
運命の赤い糸なるものがあるらしいが、
おそらくぼくたちはその糸に結ばれていて、
どんな別れ方をしたとしても、
何度別れたとしても、
結局は縒りを戻すことになる。
さて、赤い糸で結ばれた人と出会い、
運命に引きずられるように結婚する。
フィクションでもノンフィクションでも、
語られるのはいつもここまでだ。
ではいったい、
その後の二人はどうなるのだろうか?
人も羨むような幸せな家庭を築くのだろうか?
愛情いっぱいの生活を送るのだろうか?
経験から言わせてもらえば、
決してそんなことはない。
どこにでもあるような家庭を築き、
どこにでもあるような生活をするだけだ。
もし赤い糸の影響があるとするなら、
それは愛情の有無などということではなく、
窮屈ではないということだ。
とにかく、ほどこうにもほどけない糸で
結ばれている二人だから、この先も
今日が終わって明日が来るという生活を
二人で続けていくに違いない。