北風の吹くバス停で、
ぼくはジッとバスを待っていた。
学生ズボンの生地は薄かったが、
ズボン下なんて爺臭いと言って
防寒もせず、
常にその下はパンツ一枚だった。
風はそれを知っているのか、
脚をめがけて吹いてくる。
おかげでぼくの脚には
いつも鳥肌が立っていた。
例えば手前のバス停まで歩けば
待つ時間の短縮になっただろう。
例えば待つ場所を変えれば
寒さを逃れられただろう。
だけどぼくは何もしなかった。
というか、
そんなこと考えもつかなかった。
変に意地を張っていたのか、
時間に無頓着だったのか、
そいつは今となってはわからない。
もしそういうことをやっていれば、
もう少し違った人生を
歩んでいたかもしれない。
高校時代という多感な時期を
ぼくは風に吹かれて
ジッとバスを待っていた。