「ぼくはウツなんですよ」と
自慢げに言う男がいる。
薬を飲んで治療しているらしい。
おそらく精神安定剤の類だろう。
かつて精神安定剤に頼りすぎて、
精神が不安定になった女を
ぼくは知っている。
突然家の中で花火を始めたり、
突然警察に自殺予告をしたり、
とにかく薬を飲むと、
わけがわからなるのだ。
生活の歪みが積もり積もって
かかってしまった心の病を
歪みを元に戻すことをせず、
安易に薬なんかで治そうとするからだ。
「わけのわからない薬なんか頼らずに、
たとえば般若心経のような
わけのわからない言葉を
ただひたすら唱えたほうが
はるかに効果的だ」と
ぼくは彼に助言した。
ぼく自身そうすることで、
救われたことがあるからだ。
それで集中力が養えたらしめたもので、
心がウロウロしなくなる。
心がウロウロしなくなれば、
ふさぐこともなくなるはずだ。
とにかく薬に頼るのだけは、
やめたほうがいい。