何という虫なのかは知らないが、
さっきから窓の外で一匹の虫が
飽きもせずに鳴いている。
常に一定のリズムではなく、
一句一句の長さに
微妙な変化をつけながら、
彼は鳴き続けている。
ぼくはしばらくその声に
耳を澄ませていたのだが、
ふとその微妙なリズムに
聞き覚えがあることに気がついた。
さて何だったろうと
頭の中のデータを検索していくと
あるありがたい言葉に行き着いた。
「ギャーテイ、ギャーテイ、ハーラーギャーテイ
ハラソーギャーテイ、ボージーソワカ…」
おお、何と般若心経ではないか。
虫も修行しているんだ。
というか、
ぼくを守ってくれてるのかもしれないな。
「ハンニャーシンギョー、チーン」