中一の頃のぼくの称号は問題児だった。
そのきっかけとなったのはぼくが
他人のけんかに巻き込まれたことにあった。
担任はなぜかことのいきさつも調べずに、
勝手にぼくを首謀者と見なした。
あまりの馬鹿馬鹿しさにぼくは呆れて、
何も弁解しないでいると、
奴はさらに調子に乗って、
ぼくを問題児扱いするようになった。
ノートに落書きすると問題児。
他の先生にビンタされると問題児。
美術の作品を出し忘れると問題児。
体育の授業を見学すると問題児。
流行りの言葉を使うと問題児。
問題児、問題児、問題児…。
いったいどれだけ問題児なのか。
ぼくが「問題」を起こすたびに
奴はぼくの母親を呼び出して、
ご親切にもぼくの行く末を案じて、
嘆いてくれていたそうな。
三年後、
何の因果か奴の自慢の娘は、
問題児と同じ高校に通うことになる。
ああ、そうだったのか。
奴は問題児の行く末を案じながら、
実は我が娘の行く末を嘆いていたのか。