吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

(2)楽しい超能力

お目当ての本屋に向かっている時だった。
途中にある女性物の店の前で、一瞬場が変わったような感じがした。
「え?」と思って、店の中を覗いてみた。
すると、店の中からぼくを見ている店の女の子がいるではないか。
「こういう店に知り合いはいないはずだけど…」と思って、見ていると何とその子は手を振って近づいてきた。
そして「やっぱり、しんたさんですね」と言った。

よく見ると、3月まで働いていた店にいたアルバイトだった。
タマコの友だちで、ぼくがよくからかっていた子だ。
「お久しぶりでーす」
「おまえ、こんなところで何をしよるんか?」
「私ここに就職したんですよ」
「そうなんか」
「しんたさん、今どこのお店にいるんですか?」
「おれは今、プーよ」
…と、これまでの経緯を一通り話したのだった。

しかし、知っている人と偶然会ったりする時というのは、どうして場が変わるのだろう?
どういう風に場が変わるのかというと、その空間がクローズアップされたような感じがして、そこが何か特別な場所のように感じるのだ。

そういえば、今回はなかったが、知人に会う時に、そういう予感がすることもある。
また、「この人にどうしても会わなければならない」と思っていると、ひょんなところで、それも絶妙なタイミングで会うこともある。

やはり人には超能力が備わっているのだろう。
まあ、そういうことを当たり前のことと思っている人にとっては、「何が超能力だ」ということになるだろうが、ぼくは超能力だと思っている。
なぜなら、そう思ったほうが楽しいからである。