どこに行こうかとオナカ君と二、三ピックアップしたが、「せっかくここまできたんだから」ということで、球場の近くにある『東洋軒』に行くことにした。
その店は、「ラーメンのおいしい店」としていつも名前が挙がる店である。
ぼくもラーメンに凝っていた十数年前に、何度か昼食で利用したことがある。
当時市内にあまりなかった『久留米ラーメン』というのがウリだったと思う。
なるほどこってりした豚骨スープだったが、そのわりにあっさりした味だった。
ということで十数年ぶりの『東洋軒』だった。
当時と変わらずお客さんは多かった。
さすがラーメン通をうならせる店である。
味は相変わらずで、おいしいラーメンだった。
が、すでにチャンポンの洗礼を受けているぼくは、物足りなさを感じていた。
それは甘みである。
チャンポンのスープは、その具である野菜のエキスがスープに染み渡っているため、微妙に甘いのだ。
それがチャンポンのうまみに繋がっているというわけだ。
帰り道ぼくはオナカ君に言った。
「おれはやっぱりチャンポンのほうが好きやの」
「そうか。ああそういえば、この間、『響』のチャンポン食いに行ったぞ」
「あそこおいしいやろ」
「おう。かなりおいしかった。普通チェーン店であの味は出せんやろう」
そういう話をしているうちに、ぼくは無性にチャンポンを食べたくなった。
そこで今日、オナカ君との会話に出た『響』に行ってきたのだった。
最高だった。
