吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

坂の町(後)

平成16年9月の資料で見ると、八幡東区の全人口に対する65歳以上のお年寄りの割合は27.6%になっている。
全人口が7万6千人ということだから、お年寄りの数は2万1千人ということになる。
若い人でさえ疲れるきつい坂や階段の上に、2万1千人のお年寄りが息を切らして生活しているということになる。

別に歩かなくても、車を使えばいいじゃないか、と思われるかもしれない。
しかし、お年寄りの住んでいるところは、決まって道が狭いのだ。
車一台がやっと通れるところや、車でさえ通れない道も数多くある。
ということで、坂道が社会問題になった背景には、もしかしたら車の普及というのもあるのかもしれない。
つまり、車を買っても、車の入れない地区に住んでいる人は、家に車庫を持てないわけだし、仮に車庫を借りるとしても、家から遠く離れた場所にしか借りることが出来ないので、坂道や階段からは逃れられないということになる。
もしかしたら、そういう事情がわかってから、初めて『不便』というものに気づいたのではないのだろうか。

文明は人にいろいろな便利を与えてくれたが、それによって発生した不便もあるということだ。
その一つがこの坂道と車の因果関係である。

さて、それに関連して見逃せないことがある。
それは家電製品の普及である。
昔に比べて、家電製品は図体のでかいものが増えている。
テレビ、冷蔵庫、全自動洗濯機などなどである。
そういう機械は、図体に比例して、とにかく重い。
中には人の体重よりも重い物もある。
ということで、急坂や階段のあるところに住む人は、買うことを躊躇するのかというと、そうではない。
そういうところに住んでいる人は、けっこうそういう物を好んで買う傾向があるのだ。
経験上それがわかる。

とにかく、配達人泣かせなのだ。
重たい商品を抱えて、「ヒーヒー」と息を切らしながら長い急坂を登り、ようやく登り詰めたと思ったら今度は階段が始まる。
階段も2段3段ではない。
2,30段はざらで、中には100段近い階段もある。
そこを登る頃には、すでに手の感覚は麻痺し、膝は笑ってしまっている状態である。
どうにかこうにかそれを納め、ホッと一息をつく間もなく、今度は古い機械の引き取りである。
何十段もある階段を下り、長い急坂を下りていなかければならない。

ここでようやく5月18日に、なぜまともな更新が出来なかったという理由になる。
実はその日、宅配業務をさせられたのだ。
内容は上に書いているとおりで、家電製品ではなかったものの、けっこう図体のでかい商品を、「ヒーヒー」言いながら運んだのだった。

その際に軽トラで登った坂道は、半端ではなかった。
まるでジェットコースターの登りにも似ていた。
ギアもセコでは後ずさりしてしまうので、ローで登らなければならない。
そして、結局行き詰まっとところに段があり、そこからさらに急な坂道を登らなければならなかった。
そして階段。
また坂道、そしてまた階段。
これで一気に体力を消耗してしまったわけだ。
家に帰ってからも疲れは取れず、結局飯を食ったあと、何も出来ないまま眠ってしまったというわけだ。

八幡は坂の町である。
その町で生活するには、必要以上に体力を消耗してしまう。
これが八幡に生まれた者の宿命なのだ。