面白い話を聞いた。
しんたには、会社に5人の愛人がいる。らしい。
その話を聞いた途端、ぼくは吹き出してしまった。
「おお、おれには5人も愛人がおるんか。それは大変だ。で、誰が相手なん?」
その話を教えてくれた人は、3人の候補者をあげた。
ぼくがその3人を狙っているのだそうだ。
しかし、狙っているだけなら、その人たちを愛人と呼ぶことは出来ないはずだが。
まあ、そんな細かいことはどうでもいい。
その人は「この3人は外せない」と言った。
何を根拠にして、外せないのかはわからないが、その3人の名前を挙げて、ぼくの動揺する顔が見たかったのだろう。
ところが、ぼくはこのサイトのトップにあるとおり『いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう』人間である。
動揺するどころか、すぐに「おお、ありがたい。日記のネタが出来たわい」と思ってしまった。
こんな面白い話を、日記にしない手はないのである。
5人のうち3人は、その人の情報でわかった。
が、残りの2人がわからないと、この日記の幅も広がらない。
問題は残りの2人である。
そこで、ぼくはその人に「あと2人は?」と聞いた。
するとその人は「よく知らない」と答えた。
そうか、では、その噂の主に直接聞いてやろうと思った。
「うう、残念。知らんとか。じゃあ、誰がそういうこと言いよったんかねえ?」とその人に聞いた。
「この話は休憩室で聞いた話で、そこにいた人がみんなそう言いよったけねえ」
「誰がおった?」
「よく覚えてない」
覚えてないはずはない。
きっと、それを教えたら、その人が困ることでもあるのだろう。
ということで、それ以上の詮索をしなかった。
とはいえ、その5人がわからないと日記も盛り上がらない。
しかし、あと2人がわからない。
いろいろ考えたあげく、ネタ集めということで、名前の挙がった『外せない3人』に、「あんたはおれの愛人らしいよ」と言って回った。
3人ともあ然とした顔をして、終いには笑い出した。
そして、周りにいた人たちにも、「この人、おれの愛人らしいよ」と教えて回った。
誰一人驚く様子もなく、笑い出した。
「いやね、この会社にしんたの愛人が5人おるらしいんよ。で、3人はわかった。その一人がこの人なんよ。あとの2人がわからんでねぇ」
すると、周りにいた人たちは面白がって、「え、たったの5人?」などと言う人もいた。
そういう中に、「私、あと2人知っとるよ」という人がいた。
「誰?」
「それはねえ」
「うん」
「○ちゃんと私」
「え、そうやったん?」
「そうよ。それしか考えられんやん」
「そうか、あんたもおれの愛人やったんか」
そこでぼくは、その話をしたすべての人に「5人全部わかりました」と告げて回った。
ところが、それに不服を唱える人が出てきた。
「それはおかしい。何で私が入ってないと」
「そうよ。私も入ってないやん」
それを聞いた、愛人に選ばれた人が、「じゃあ、あんたも愛人に入ればいいやん」と提案した。
ということで、不服を唱えた2人も愛人グループに仲間入りした。
今、しんたには7人の愛人がいる。ことになった。
今度『愛人の集い』をせないけん。