若い頃は、自分のことを一途な人間だと思っていたのだが、これまでの人生を振り返ってみると、決してそうだとは言い切れない。
かと言って、『恋多き男』とまではいかないようだ。
ま、人並みだと思っている。
恋、これほどやっかいなものはない。
昔から『恋の病』とか『惚れた病』などと言うが、はっきり言って恋とは病気なのである。
何が病気かというと、精神状態が普通ではないのである。
朝起きた時、早くもその人のことを考えている。
通学時,通勤時にも、その人のことを考えている。
授業中,仕事中といった神経をそこに集中させなければならない時にも、その人のことを考えている。
食事中も、トイレの中でも、入浴中も、いつもその人のことを考えている。
寝る前、さらに夢の中でも、その人のことを考えている。
つまり、一日の精神活動の大部分を、その人のために費やしているのである。
その結果、目はうつろになり、息は苦しくなり、胸は痛くなる。
これが今までのぼくの恋の姿だったのだが、もううんざりである。
これからは、もっと恋する自分というものを楽しむようにしていきたいと思っているのだが、どうなることやら。