車を修理に出しているため、代車生活を強いられている。
今日でちょうど一週間目になる。
感覚はつかめるようになったが、まだまだ慣れない。
修理に出している車がRV車で、今回の代車が軽自動車なので、目線がまったく違うのである。
普段は立って歩くくらいの目線なのだが、今はアヒル歩きの目線なのだ。
この目線の違いが、幹線道路を走る時の障害になる。
何が障害かといえば、それは気持ちである。
怖いのである。
ぼくはただでさえ軽自動車をあまり運転したことがないのだ。
そういうぼくが、大型トラックやトレーラーなどが頻繁に走っている幹線道路を走るなど、自殺行為に等しい。
普段は大型トラックなどと競り合いながら走っているのに、今はそれが出来ないのだ。
そのくせ、普段の癖が出て、競い合っている。
それが怖い。
普段はそう感じないのだが、軽だとすべての車が幅寄せしているように思える。
後ろの車も、軽だからといってなめているように思えるのだ。
「ふざけるな!」
「離れろ!」
「これはおれの車じゃない!」
などと、一週間車の中で叫び続けている。
もう一つある。
それは、スピード感だ。
通常ぼくは、時速60~70kmで走っている。
目線が高いと、そう速く感じるスピードではない。
しかし、アヒル歩きの目線だと、極端に速く感じるものだ。
このまま空を飛ぶんじゃないか、と思えるほどである。
ハンドルを取られるような錯覚に陥ることもある。
そのため、気がつくとハンドルを必要以上に強く握り締めている。
これも怖い。
後続の車が見たら、ぼくの車は小刻みに揺れているのかもしれない。
代車に人を乗せることはないのだが、仮に乗せたら、その人は酔ってしまうだろう。
ところで、当て逃げされた愛車の修理代だが、今日、修理に出している代理店の人がぼくの店に来て教えてくれた。
「修理代が18万かかるらしいよ」
「え!? 18万ですか? 12,3万じゃなかったんですか?」
「いや、他の箇所にも歪があったらしい」
そう言って、彼は修理中のぼくの車の写真を見せてくれた。
18万といえば、車検料より高いじゃないか。
保険を使っておいてよかった。
まあ、300万も取られるわけじゃないけど、安月給のサラリーマンにとって、18万は痛い。
しかし、来年から保険の等級が下がるわけだから、当然保険料が上がってくる。
それも頭の痛いことである。
憎むべきは、当て逃げ野郎だ。
代車で疲れ、仕事で疲れ、修理で疲れる毎日である。
明日、愛車が戻ってくる。