
1977年3月、一浪後受験した大学に全部落ちた。
編入を見据えて、短大を受けることにしたのだが、その学校は3月末に倒産した。
4月、祖父が亡くなった。
その後、何もしないわけにはいかないからと、とりあえずアルバイトの面接を受けたのだが、受けた面接26回すべて落とされた。
全てに拒否され、それから外に出るのが恐ろしくなり、引き籠り生活が始まった。
転機が訪れたのは、その年の8月だった。
市が募集したアルバイトの採用が決まったのだ。
8月末にアルバイトの説明会が行われ、配属が決まり、9月からの勤務先が決まった。
これで短いようで長かった3ヶ月の引き籠り生活に終止符が打たれた。
説明会が終わり、そこで知り合った人たちと、喫茶店に行くことにした。
会場から外に出ると、空は真っ青に晴れ上がり、太陽がまぶしく感じた。
毎日窓を通してしか空を見なかったぼくにとって、久しぶりに見る本物の空の明るさだった。
その時に立ち寄った喫茶店で、この歌がかかっていた。なぜかこの歌が刺さった。
引き籠り中に、高校時代の友だちとスナックに飲みに行ったことがあるのだが、その時そこのママさんから、「あなた暗いねえ」と言われ、えらくショックを受けた。
「暗い」などと言われたのは、この人生で初めてだったからだ。
きっと外に出ない暗い生活が、ぼくから滲み出ていたのだろう。
つまり普通に生活している人から見ると、その時のぼくは異邦人に映っていたわけだ。
さださんのこの歌が刺さったのは、その歌詞と自分を重ねていたからだろう。
今でもこの歌を聴くと、あの頃の自分と、青空と、まぶしい太陽が蘇る。