その女性と初めて会った時から
何か以前から知っていたような気がしていた。
彼女はぼくに妙なことを言ってきたが
ぼくはなぜかそれを理解していた。
彼女は色々とぼくを頼ってきていたし、
ぼくは色々と彼女に世話を焼いていた。
飲みに行くのもいっしょだったし
何度かドライブにも行った。
かといって、お互いに
恋愛の対象としては見ていなかった。
周りから見てもそれが自然だったようで、
別に噂になるようなことはなかったし
恋人関係にあった今の嫁さんも自然に受けとめていた。
彼女が結婚した後も、ぼくが結婚してからも
彼女は以前と同じようにぼくに頼ってきているし
ぼくも相変わらず彼女に世話を焼いている。
近頃、何となくだが思うようになった。
彼女とは前世に兄妹だったのかもしれない、と。
お互いの接し方は間違いなく兄妹のそれだし
ぼくの嫁さんも彼女の娘もそう思っているし
きっと間違いないだろう。そういえば、
ぼくにはもう一人そういう関係の女性がいる。
とはいえ彼女は三十歳も年下だから
兄妹ではなく親子だったのかもしれない。