小学生の頃にアングラという言葉が流行っていた。当時のぼくはこの言葉の意味を知らなかった。まあ、それについての関心がなかったので知ろうとしなかっただけのことだ。
その言葉の意味を知るのは数年後のことで、第二期フォークブームが到来した頃だった。たまたま遊びに行った叔父の家で浅川マキのアルバムを見つけ、その時初めて彼女の歌を聴いた。
実は長い間浅川マキのことを、カルメン・マキの別名だと思っていたので、そのアルバムを見つけた時に、『時には母のない子のように』を聴いてみようと、そのタイトルを探してみた。だけどない。
そこで解説を読んでみると、まったく違う人だということがわかった。アングラの意味もその時に知った。
吉田拓郎や井上陽水などに傾倒していた当時のぼくには、彼女の歌は気だるく感じた。『赤い橋』に到った時には、憂鬱な気分にもなった。そしてその気だるさと憂鬱さが、そのままアングラのイメージとなった。今でもアングラという言葉を聞くと、そのイメージが広がってくる。
浅川マキは十数年前に亡くなっている。きっと赤い橋を渡って行ったのだろう。もう帰らない。