自分の読書の歴史をたどってみると、十代前半まではとにかくマンガだった。少年サンデー『おそ松くん』で始まり、少年マガジン『あしたのジョー』の最終回まで続いた。印象に残っているのは、手塚治虫の『W3』だ。特に最終回の展開は、その後のぼくの発想の基本になっている。
十代後半は歴史小説やエッセイや詩集。歴史小説は特に吉川英治ものが多かった。『三国志』にいたっては十数回読み直した。
エッセイは遠藤周作の狐狸庵シリーズ。詩集は中原中也、高村光太郎などをよく読んだ。
二十代は中国の古典やマンガ。孔孟老荘など教養ものや、『菜根譚』などの処世ものをよく読んでいた。
特に老荘への関心が強かった。これが三十代の禅思想への関心へと続く。
マンガは、少年チャンピオン、少年マガジンや少年ジャンプをよく読んでいた。特にチャンピオンは鴨川ツバメもの、マガジンは小林まことものをよく読んでいた。
三十代は禅関連やマンガ。どちらかというと処世的な老荘から、内面的な臨済へと関心が移った。その臨済が禅思想や仏教思想へのきっかけになった。そこで得た成果は、『般若心経』や『延命十句観音経』を暗唱できるようになっただけだったが。
一方マンガは、二十代後半から三十代にかけてのビッグコミックオリジナル。きっかけは『人間交差点』で、当時自分が抱えていた悩みとシンクロした作品が多かった。浦沢直樹ものを読むようになったのもこの頃からだ。特に『Happy!』は最高だったな。
四十代、五十代は日本史関連やマンガ。実は小学生の頃から日本史が好きだった。その興味に火がついたのが近隣諸国問題への関心だった。『何で日本は、近隣諸国に謝らなければならないのか?』という疑問が、近代以降の歴史書に繋がった。そこで得た結論は「ふざけるな!」だった。
マンガの方は三十代の延長で、ビングコミック系をよく読んでいた。それに加えて、つげ義春ものをこの頃から読み出した。そのつげ義春ものと『ゲゲゲの女房』の影響から、水木しげるものを読みあさるようになる。
で、今はその延長上にある。