2020/10/05 入院日記(8)もう一つの病気
入院して四日目の朝、看護士さんが来て言った。
「今日からお薬が一つ増えますんで」
「えっ、何の薬ですか?」
「しんたさんは、尿酸値が高いんで、それを下げる薬です。痛風になったことないですか?」
「今年の春に痛みがあったんですが、その時医者から痛風と言われました。実際は筋膜炎だったんですけどね」
「そうですか。でも放っておいたらダメですよ。今日からその薬も飲んで下さいね」
ということで、その日から薬を飲み始めた。
さて、翌朝のこと。朝起きると、右足親指の関節が痛い。そのことを朝の回診の時、医者に言った。
「ああ、これは痛風ですね。薬とか飲んでないんですか?」
「昨日、予防薬をもらって飲み始めたんですが」
「・・、ああそうですか。じゃあしばらく様子を見ましょう」
その日の夕方、看護士さんがもう一つの薬を持ってきて、
「炎症を治す薬を追加しておきます。今日から朝夕、この薬も飲んで下さいね」
と言った。ということで、また一つ薬が増えたのだった。
その翌朝のこと。朝食を終え、薬も飲み、リハビリの時間まで廊下で散歩していた。その時、顔見知りになった他の患者さんが声をかけてきた。
「しんたさん、脳梗塞だったですよね」
「はい」
「最初に会った時は、普通に歩いていたようだったけど、今は足を引きずってますね」
「そうですか?」
「痺れが酷くなってきたんですか」
「いえ、痛くなったんです」
「えっ、痛くなった?それも脳梗塞からきてるんですか?」
「いえ、痛風です」