吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

落とし物3(2004年9月24日付)

【今週の日曜日のこと】
某大手都市銀行のカードを拾った。
いつものように電話をかけ、落とし主の名前とカード番号を言った。
「はい、わかりました。では、明後日火曜日に、北九州支社のほうから連絡させます。失礼ですがお名前は?」
「しろげしんたといいますが、あいにく火曜日は休みなもんで…。ああ、サービスカウンターに預けておきますんで、そこに繋いでもらってください。わかるようにしておきますから」
「はい、わかりました。では火曜日、御社のサービスカウンター宛に連絡させますので、それまで大切に保管しておいてください」
ぼくは拾ったキャッシュカードをサービスカウンターに持って行き、その旨をメモに書いて、そにいた人たちに説明をしておいた。

水曜日になった。
会社に行ってすぐに、店長が「昨日、しんたさん宛に某大手銀行から電話があったよ」と言った。
「あ、じゃあサービスカウンターに繋いでもらったんですね」
「えっ?先方は、サービスカウンターに繋いでとも何とも言わんかったよ」
「え、そうなんですか?」
「うん。『じゃあ、明日また電話しますから』と言って切ったけねえ」
「あれだけサービスカウンターに繋いでくれと言っておいたのに…」
しかたなく電話を待つことにした。

当然朝一番に電話がかかるものと思っていた。
ところが、昼近くになっても電話はかかってこない。
その日は朝から忙しかったので、『もしかしたら、いない時にかかってきたかも』と思い、サービスカウンターに行って、「電話、こちらにかからんかった?」と聞いてみた。
だが、かかってはなかった。
昼からは倉庫に籠もらなくてはならない。
そうなると、電話がかかってもわからない。
ということで、こちらから電話をかけることにした。

「もしもし、こちら○○店と言いますが…」
「はい、お世話になります」
「キャッシュカードを拾った件で、そちらから電話をもらうようになっていたんですが」
「ああ、しろげさんですね」
「はい」
「昨日はお休みだったでしょ?」
「はい、火曜日は休みだと最初から言ってありましたが…」
「そうなんですか」
「それで、サービスカウンターに連絡してくれと言っておいたんですがねえ」
「そうでしたか。それは聞いてませんでした。ははは」
横柄な物言いをする、感じの悪い男だった。

「で、カードの件なんですが、お客さんに連絡してみたんですがいらっしゃらないんですよ」
「そうですか。で、このカードはどうしたらいいんですか?」
「ああ、カードですねえ…。じゃあ、送ってもらいましょうか」
「え、送るんですか?」
「ええ、そうして下さい」
「送ると言ったって、書留か何かで送らないとまずいでしょ?」
「いや、カードのほうはロックをかけてますし、書留だと、そちらに負担がかかるでしょ?」
「普通郵便で送れということですか?」
「ええ」

無茶苦茶な銀行である。
『大切に保管しろ』と言ったくせに、送るのは『普通郵便』である。
その普通郵便も『書留だとそちらに負担がかかるから』という理由だ。
普通郵便だって負担がかかるのだ。
たかだか80円だが、それだってこちらの経費なのだ。

そこで、ぼくは「佐川急便とかじゃだめなんですか?」と聞いてみた。
着払いで送ってやろうと思ったのだ。
ところが彼は、「いや、普通郵便でいいですよ」と言う。
いったいどういう感覚をしているのだろう。
キャッシュカードのような大切な物の場合、先日の郵便局のように、銀行のほう取りに来るのが普通である。

おそらくこの銀行の人たちも、どっぷりと大企業のぬるま湯につかっているのだろう。
つまり、『お客さん以外はみな業者』という感覚である。
彼のそういった感覚に、ぼくはかなりムカついたが、それを落とした人はきっと困っているはずだから、一刻も早く手元に届けてやろうと思い、先方の言うとおり普通郵便で送ることにした。
もちろん「腐っても大手銀行だから、きっと80円の切手を戻してくれる」という期待を込めてである。
まあ、送ってこなければ、ここでその銀行の名前を公表するだけのことだ。
今日でカードを送ってから2日目。
公表までのカウントダウンは、既に始まっている。