吹く風

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

梅雨怪談

 この時期に幽霊が出てきた。頬にホクロの二つ並んだ、青黒い顔の女幽霊で、彼女がトイレとか部屋の中とかを、浮かぬ顔して往き来している。

 そこでぼくは除霊しようと思い、伝家の宝刀である般若心経を唱えた。ところが、肉体のぼくは寝ているので、口が機能しないのか、はっきりとした言葉になって出てこない。
「マーカハンニャーハーラー」が
ファーファファーファー」となってしまう。
 それが実にもどかしく、つい意地になって何度も何度もやってみる。しかし相変わらず言葉にならず、女幽霊はいつまで経っても消えようとしない。

 幽霊の横には嫁さんがいるのだが、きっと彼女には見えてないのだろう、『何やってんだ?』みたいな顔をして、ジーッとこちらを見ている。その時だった。

 誰かがぼくの後ろから肩をポンポンと叩くのだ。
『誰だろう』と思い振り向くと、
『エッ!?』、何とそこには幽霊の横にいるはずの嫁さんがいるではないか。
『何でここに・・』、幽霊のいる場所に目を戻すと、誰もいない。
「変な夢でも見たの?うなされてたよ」と嫁さんが言う。何が何だかわからない。

 それまでのことはすべて夢だったということがわかるまでに、体感で5分ほど(実際は1秒くらいか?)かかったのだった。
 しかし何だったのだろう、あの女幽霊は。
 もしかしたら、夜中に公園で騒いでいる子どもたちの母親・・・。